2021年06月04日

玄鉄令

2009.4.1 記
2021.6.4一部訂正

 侠客行には玄鉄令という、持つ者の願いを叶えてくれるという不思議な物がある。

 玄鉄令は表に「玄鉄の令、求め有れば必ず応ず」裏に「摩天崖、謝煙客」と書かれている。謝煙客が恩義を受けた友人に三枚与え、「手ずから渡した者には、いかに困難な頼みにも、きっと応じよう」と約束したのだった。
        
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 初めにベン梁(開封)の近くの侯監集で「玄鉄令」の争奪戦がある。
 持っていた呉道通は玄鉄令の主を捜し出せず殺される。呉道通の目的は不明。
 金刀塞の大塞主安奉日が一団で呉道通を殺して玄鉄令を探すが見つからない。これも目的は不明。
 石清・閔柔夫婦も遅れて現場に到着し、金刀塞を追うが、玄鉄令が見つからなかったことを知り、再度現場に行く。玄鉄令を手にしようとするのは、(第三巻P175)殺されたと思われる次男石中堅を掠った者を捜してもらうため。自分たちで十余年探したが見つからなかったからだ。
 主人公の狗雑種(のらいぬ)は落ちていた焼餅を食べようとしたが、その中に玄鉄令が入っていた。ただし玄鉄令の意味を知らない。
 雪山派が来ていて、戻ってきた石清・閔柔夫婦と金刀塞共に玄鉄令を見つけ三者の争いになる。
 玄鉄令三枚のうち二枚はすでに済み、最後の一枚がこれだったのだ。
 そこへ謝煙客が登場した。
「……無恥の輩の手に落ちて、死んでみろの何なのと吹きかけられれば、誓言を守るため命まで断つ羽目になるやも知れぬ。ありがたや、さいわい難なく取り戻せたわい」
 だが狗雑種の願いを聞かなければならない羽目になる。しかし、狗雑種は願いを言わないため、摩天崖に連れて行く。
 摩天崖では、狗雑種は、「いなくなった母を捜しに出て、犬も戻ってこないので、探している」と言う。
 謝煙客は、(母親を捜せの犬を探せのと言われたら厄介だ。…そんな難題を吹っかけられるくらいなら…)。…は略した。
 こう読んでみると謝煙客は、武林の問題なら史上屈指の有能者だが、民間の問題なら人並みではないかと思える。おそらく、最初に三枚の玄鉄令を出したときは、民間の問題は考えていなかったのではないか。

 玄鉄令については、これ以上の言及は見つからない。
 
  参考 書庫−侠客行


posted by たくせん(謫仙) at 07:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 侠客行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

賞善罰悪使

2009.4.4 記
2021.6.4 一部訂正追加

 侠客行で、玄鉄令とならぶもうひとつの謎が賞善罰悪使の能力。
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 十年ごとに来る侠客島よりの招待。間もなく四回目の招待が近い。招待されるのは武林各派の総帥。招待の使者は、張三李四の二人、賞善罰悪使という。
 狗雑種は鉄叉会と飛魚幇の全滅の様子を見ている。
 狗雑種は張三李四と義兄弟になったあとで、石清に説明される。(第二巻P222〜)
「三十年前、武林中で大きな門派幇会の頭が、突然、相次いで招待状を受け取った。十二月八日、南海の侠客島で朧八粥の宴においで頂きたいとな」
 銅牌と招待状をもたらしたのは二人の少年だった。張三李四ではないかと思われるが断定していない。招きに応じない者は直ちに殺されてしまった。そのような事件があちこちで起こった。
 一年の間に、彼らの手にかかった者は十四人、宴に赴いたのが三十七人。
 十年後(つまり二十年前)、わずか十日あまりで拒んだ門派を三つ、幇会を二つあわせて数百人を皆殺しにしてのけた。銅牌をばらまき続け、拒否した者は、必ずその魔手に倒れた。結局侠客島へ渡ったのは四十八人。
 さらに十年後、力を合わせて武林の害を取り除こうと、一人も逆らわず五十三人が侠客島に渡った。しかし侠客島に渡った者は帰ってこない。

 ここまではあくまでも石清の説明による。
 全てが張三李四の二人でやったとは言いきれないが、その他の使者がいたとも思えない。そしてこれは説明であり、地の文ではない。

 第三巻P36で張三李四が登場すると、
 人相風体は三十年来、武林の心胆を寒からしめた善悪二使そのもの。一様に背筋が凍り…
 この二人にそっくりな人相風体の別な善悪二使がいたとは考えにくい。

 P183では、史婆婆が幇の頭を譲れとせまると、そばで聞いていた、侠客島の迎えが、
「長楽幇の頭は二十過ぎの若者、ご高齢にして徳高き女性ではないと賞善罰悪二使はたしかに申しておりましたが」
 と、建前は賞善罰悪使はふたり。

 一同侠客島に行くと、広間に入る。龍島主と木島主を紹介され、それに弟子たちも二列に別れて入ってきた。
P193
 銅牌を配って回った賞善罰悪使者もその中に入っていた。黄の衣の張三は右の十一番目、青い衣の李四が左の十三番目、かれらの後にさらに二十人あまりが続く。人々は冷水を浴びた心地がした。張三と李四の腕前は、皆が目の当たりにしているが、他にも多くの同門がいるとは意外だった。おそらく腕も似たり寄ったりだろう。
(……、他の連中はさておき、善悪二使だけを相手にしても、二十手と立ち会える者はいくらもおるまい)

と、皆が賞善罰悪使者は張三と李四の二人だと思っている。

P209
 二島主は、賞善罰悪簿を皆に見せて、
「我らは手下を使わして、江湖の消息を集めておるが、…。…滅ぼした門派幇会は、いずれも許し難い悪行三昧の輩。…」
 そして証拠書類も見せる。
 頁を繰るうちに「可殺」の朱筆の文字が五六十カ所あり、張三李四の筆と知る。
 と、これらを「可殺」と記録したのは張三李四である。本文の記録者は不明。疑問がないところを見ると皆が張三李四と思っているか。

 石清の説明とこの四例が賞善罰悪使の説明のほとんど。
 結論として、賞善罰悪使は張三と李四の二人だけ。「手下を使わして」の文字をどう解釈するか。わたしは今まで張三と李四の二人と思っていたが、それ以外に表に出ない多くの人がいたと解釈すべきか。話の様子では侠客島の従者はここにいる人がほとんどらしい。
 それ以外に各地に散らばり探偵をしている人がいないとは断定できないが、いる気配はない。
 ただし、調査係がいないと、不可能だけに、どこかに匂わさなければいけないと思う。
posted by たくせん(謫仙) at 06:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 侠客行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月26日

侠客行の世界

 参照 書庫−侠客行
 この物語には一般の人はほとんど登場しない。せいぜい景色の一部だ。
 年代は不明。李白の詩を古詩と言っているので唐ほど古くはなく、弁髪でもない。そして混乱の時代でもなさそう。開封というので元でもなさそう。宋か明かと推測する。

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 狗雑種が、開封の東十二里の侯監集で「玄鉄令」を手に入れた時は十二三歳。
 謝煙客は、狗雑種を崇山の摩天崖に連れて行き、騙して修行させる。この間は七八年だが、正確ではない。
 鎮江「長楽幇」に来たときは二十歳くらい。鎮江は南京より海に近いところ。
 ここで騒動があり、雪山派に掠われ、舟で大運河から長江に出て、二十里下り廟に入る。
 そこから助け出され、長江に出るが、そこは急流ではないか。鎮江から長江を二十里下ったところに急流があるのかな。初めて読んだときは、急流なので三峡のような長江の上流だと思いこんでしまった。それから西の大雪山に行くので、記憶が混乱してしまったのだ。
 それから、侠客島より使者が来て、侠客島に行くことになる。
        kyokakukou.jpg
 
  登場人物
狗雑種 :主人公、熊耳山の奥で母と犬とで生活してきた少年。
     狗雑種(のらいぬ)というが本名不明。
     母と犬が消えてしまい、浮浪生活に入る。
     偶然「玄鉄令」を手に入れ、数奇な運命をたどることになる。
     石中堅であることは間違いなさそう。
謝煙客 :武林の奇人。持つ者の願いを叶えるという「玄鉄令」の主。
     摩天崖に暮らし、摩天居士といわれる。
     武術は当代では随一と思われる。狗雑種に武術を教える。

 ☆上清観
石清  :武林の名剣客。江南「玄素荘」の主。黒衣。玄鉄令を求めている。
     妻と併せて黒白双剣といわれる。中玉・中堅の二人の息子がいた。
閔柔  :石清の妻で、妹弟子。白衣。
天虚道人:上清観の元掌門。石清夫妻の兄弟子。
冲虚道人:上清観の掌門。石清夫妻の兄弟子。
石中玉 :石清・閔柔の長男。雪山派の不肖の弟子。狗雑種に似ている。
石中堅 :石清・閔柔の次男。赤子のとき梅芳姑に掠われる。
     すでに殺されたと思われている。

 ☆雪山派
白自在 :西域大雪山の凌霄城の「雪山派」の掌門。雪山剣法の創始者と自称。
白万剣 :雪山派の門弟。白自在の息子。
封万里 :雪山派の門弟。石中玉の師父。
花万紫 :雪山派の門弟。女性。
耿万鐘・王万仞 :雪山派の門弟。
     雪山派には白自在の兄弟弟子である「自」の世代の弟子もいる。
史婆婆 :金烏派を自称している。狗雑種を最初の弟子とする。白万剣の母親。
阿繍  :史婆婆の孫娘、白万剣の娘。

 ☆長楽幇
貝海石 :鎮江「長楽幇」の軍師。幇主になれる器。前幇主を隠す。
陳冲之・米横野 :長楽幇の香主。香主は幹部である。
展飛  :長楽幇の香主。石破天が妻に手を出したため、復讐しようとして、狗雑種を打つ。それがきっかけで狗雑種は体調が良くなり、武術を極めることになる。
石破天 :長楽幇の幇主。狗雑種に似ている。行方不明の謎の人物。石中玉。
侍剣  :石破天つきの侍女。
司徒横 :不登場人物、長楽幇の前幇主。
     侠客島からの招待を避けるため、石破天を幇主にしている。

 ☆侠客島
張三・李四 :侠客島の賞善罰悪使。
     「賞善罰悪令」を各掌門に配って侠客島に招待する。
     招待に応じない場合は一派皆殺しにするといわれている。
龍島主 :侠客島の主。
木島主 :侠客島の主。

 ☆その他
丁不三 :「一日不過三」といわれる。人を殺すのは一日三人以内とする。
丁トウ(王+當) :丁不三の孫娘。石破天の恋人。
丁不四 :丁不三の弟。
梅文馨 :梅花拳の使い手。丁不四のかつての恋人。
梅芳姑 :梅文馨の娘。熊耳山に住む。狗雑種の育ての母。

呉道通 :玄鉄令を手に入れたが、主を捜し当てられず、焼餅売りに身をやつして開封郊外に住む。玄鉄令争奪で殺される。
安奉日 :金刀塞の大塞主。玄鉄令を狙う。
大悲老人:白鯨島の主。長楽幇への加入を拒んで殺される。
     死の間際に狗雑種に武芸の奥義を記した人形を授ける。
范一飛 :関東四大門派の一、臥虎溝鶴筆門の掌門。
呂正平 :関東四大門派の一、長白山快刀門の掌門。
風良  :関東四大門派の一、錦州青龍門の掌門。
高三娘子:関東四大門派の一、万馬荘の女主人、飛刀の名手。
posted by たくせん(謫仙) at 14:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 侠客行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月16日

侠客行

06.4.28
 桃花島旅行のおり、上海でDVDの侠客行を買った。三枚組で42元。日本円にして600円くらい。これで大河ドラマ21回分が入っている。
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posted by たくせん(謫仙) at 17:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 侠客行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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