日本名 王と皇帝に愛された女
あの有名な北斉の蘭陵王の妃だが、これは実話か。つまりモデルがいたのか。
北斉の端木怜(たんもく・れい)は、始皇帝の時代に“天羅地宮(てんらちきゅう)”を建立した端木吉(たんもく・きつ)の血を継ぐ末裔。始皇帝による天下統一の秘密が隠されたこの建物への入宮には、三種の神器の1つ“鎮魂珠(ちんこんじゅ)”が必要だった。
これを探りに北周の宇文邕(うぶん・よう)に嫁ぐが、事故で記憶を失ってしまう。
この俳優は演技はうまいとはいえない。舞は本格的だった。調べたら歌手だった。物語もあり得ない設定が多い。端木怜が北周の都から北斉へ行こうとするが、荷物もなく、ひらひらの衣装で、ひとりで山道を歩いている。いったい何日かかると思っているのだろう。
かというと、戦いの場面はけっこう迫力がある。
初めの数回をみて、おもしろくないなと、最後を見たら意外な展開なので、中も見ることにした。
わたしが注目したのは、宇文護が明帝を殺すがどうやったのか。宇文護はどうして自分が皇帝にならず宇文邕を武帝にしたのか。武帝は12年間耐えて、宇文護を誅殺するがそのいきさつはどうだったのか。
念のため、北周の年代を書いておく。
556年−557年 孝閔帝 1年
557年−560年 明帝 3年
560年−578年 武帝 18年
572年 宇文護 誅殺
573年 蘭陵王死す
577年 北斉滅ぶ
578年−579年 宣帝 1年
579年−581年 静帝 2年
ところが、なんと武帝が即位してまもなくの宴会をきっかけに、武帝宇文邕と宇文護が争い、宇文護が死ぬことになる。この戦いは、双方が準備して仕掛けた。12年間をパスしたのだ。ここは時間経過が曖昧。皇帝に擁立してくれた礼を改めて12年後に行った。という解釈もできる。この場合は端木怜の年齢が問題になりそうだ。
天羅地宮の設定などおもしろいアイディアと思ったが、肩すかしをくらう。天羅地宮のからくり仕掛けはびっくりするが、中身はくだらない。「始皇帝による天下統一の秘密」などという大げさなものではない。