于正版笑傲江湖といえばいいのか、霍建華(主演俳優)版といったらいいのか。2013年版の笑傲江湖である。
話には聞いていたが、ここまで改変されているとはびっくり。と言ってもいつものことといえばそうなのだが、それにしてもだ。
小説では一瞬しか出てこない東方不敗が、あちこちに出てくる。しかも東方姑娘で、儀琳の姉で、本拠地を留守にしてホステスをやっている。一時的なんだろうな。
さらに出演者が若すぎる。風清楊以外は若いイケメンばかり。老人のはずのあの人この人が、二十代または三十代の若さでは話がつながらないと思うのだが、どうなンだろう。その若さで引退なんて考えられないし。
林平之はけっこうやり手のようで、とても世間知らずという感じではない。
この小説の最大の眼目である東方不敗が女性では、葵花宝典の存在が浮いてしまう。あって困るものでもないが、存在感が小さくなる。
辟邪剣譜は小説通りだ。
梅荘で任我行を助けるのは、令狐冲と聖姑。向問天は無関係。後に向問天が重く見られるが、もともとの重臣だったのか。
小説では聖姑のやったことまで、このドラマでは東方姑娘がやっている。しかも二人とも並の美人で、カリスマ的迫力がない。
聖姑が琴を演奏するシーンがあるが、手の動きと音が全く合っていない。そんなことも迫力のない原因かもしれない。
その点は、小師妹がそれらしい。他より美人というのではなく、その位置らしさに存在感に迫力がある。
それでも武術の面では全体的に迫力があるので見続けてしまう。
いつものことだが、思過崖では谷底から断崖の上まで空を飛んで行くほどの武術者が、黒木崖では池の中からすぐ目の前の岸まで飛べない。簡単に飛び越すと思ったが飛べないのだ。この場合、両者は同一人物ではないので、何とか説明はつくが、これだけの武術者たちが飛べないと判断した理由は気になる。
こういう設定の不統一は気になるところ。
こういうことを書いていると、“校閲ガール”になったような気分(^_^)。
張紀中版はラストがメチャクチャで、金庸先生を怒らせたと聞くのに比べて、岳不群が死ぬあたりは原作に近い。逆にあれっと思ってしまう。
そして、41回目に初めて黒木崖のエレベーターが出てきたが、まるで近代高層ビルの骨組みのような巨大な仕掛け。そんな科学力があったのに、内力勝負をやっていたのか。どんでん返しのような設定だ。さらにどんでん返しがあって結局する。
最後のある雪の日、湖の水の中には陽光が輝いていて…、ご愛敬。