2012年の中国映画、というからまだ新しい。
死の床にある劉邦が「鴻門の会」からの出来事を回想しながら、韓信を粛清していく。
その粛清は劉邦というより皇后となった呂雉が中心と思える。
蕭何と張良は韓信の無実を訴えるが、呂雉は聞き入れず、粛清してしまう。
主題のはずの「鴻門の会」がほとんど出てこないという、なんか騙されたような話。もっとも劉邦は死の床で、わたしの一生は「鴻門の会」だといっているが、付け足しみたいだ。
とにかくストーリーが暗い。舞台が暗い。当時は皇宮といえども明かりは蝋燭程度、その暗さでストーリーの暗さを表現していると言えなくもない。
劉邦は六十一歳で亡くなるが、まるで九十歳。その他の人物も同じようなイメージだ。その粗末な衣服は、まるで乞食かと思えるほど。
若い俳優が老けメイクで登場する。その他、衣装や甲冑なども、古代らしいイメージだ。
宮廷勤め(奴婢ばかりではない)の人たちは、いつも腰を90度近く折り曲げて動き回る。この時代はそうだったのか。またマスゲームのように行動するのは、いつも疑問だが、それもそうだったかも知れない。
他の映画が、現代のファッションショーかと思えるほど華やかな衣装と化粧で登場するするのがおかしいのだが、だからといって、ここまでリアルに暗くすると、かえって嘘っぽくなる。小説で言えば純文学といったところ。