2007年04月29日

七剣下天山

  著  梁羽生   徳間文庫  05.9
   翻訳 阿部敦子・松田京子・千夜ハルコ・土屋文子
   監修 土屋文子
 この本は紹介しようか迷った。
 おもしろいかと問われれば、おもしろいとはいいかねるのだ。
 映画セブンソード(七剣)の原作ともいわれたが、内容は別物。
 映画の公開に合わせて、急遽出版したらしく拙速。急造であることが丸見えなのだ。
 まずワープロ誤変換が多い。上巻では送りがなの中によけいな文字が入っている。これなど誰が読んでも(校正しても)判る。
 下巻では漢字の誤変換である。例をあげると、
 「諸手をあげて…」は「両手をあげて」又は「双手をあげて」であろう。
 こんな理由でこの小説を評価するのは問題があるが、この点を取りあげないわけにはいくまい。
 もう一つ。小説上の問題は視点が定まらないことだ。骨だけを取り出すと、

Aは敵に切りつけた。
Bは敵に切られた。


とあって、はてAとBは味方同士だったっけ、と首をかしげるが、Aの敵とはB、Bの敵とはAなのであった。それならそれで、もう少し違う書き方があろう。
 つまり、おもしろいと言いかねるが、そのようなところが改善されて、わかりやすくなれば、おもしろくなる可能性がある。
 著者の梁羽生は金庸・古龍とともに新派武侠小説の御三家と言われる。
 この本が最初の翻訳である。また、連作が多く、この本も天山シリーズの一作である。
 それ故にわたしは無視しにくい。
 時代は呉三桂が三藩の乱を起こすころ、ストーリーは判りにくく紹介できない。それでいながらもう一度読む気にはならない。
 清軍が中国を席巻し南へ西へ更に侵略をするころ、これに対抗する天山山脈に根拠をもつ天山派の剣士の活躍である。七剣とは七人の剣士の意味。
 視点の変わったところでは、はっきり判るようにすればよい。また改行を増やして、話しているのか心の内なのかはっきりさせる等、それだけでわかりやすくなるかも知れない。
 そんなわけで、この本の評価は低いが、元小説まで低いとは思えない。 一応、紹介しておきます。
posted by たくせん(謫仙) at 11:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 武侠世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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