人はなぜ空を飛ぶのか、万有引力とは無縁の境地に至った剣士たちの凄腕に迫る解説書(^_^)。
浦川留・岡崎由美 06.10 三修社
中国には日本のチャンバラ時代劇のような武侠時代劇の映画がぞくぞくと作られいてる。そして日本のチャンバラと違うのは人が空を飛ぶことだ。
おっと、笑わないで欲しい。笑ってもいいけれど、「そんなわけないよ、プッ」ではなく、「そりゃ痛快だ、ワハハハ」と笑っていただければ幸いである。
武侠小説に詳しく、金庸を始め多くの武侠小説を翻訳した岡崎由美さんと、映画に詳しい浦川留さんの、「そりゃ痛快だ、ワハハハ」と笑ってしまう映画の紹介である。
このブームの発端はグリーンデスティニーだった。わたしはすでに金庸の武侠小説を読んでいたので、武侠が映画にもなったのか、程度にしか思わなかったが、世界を震撼させたらしい(^_^)。わたしはあの「初恋のきた道」を主演した章子怡(zhang zi yi)がアクションスターに変身して大暴れしたのにびっくりした。だが中国国内ではすでに多くの映画が作られていたのである。
もともと中国には武侠小説の流れがあった。それが1951年に禁止され、それらの作者たちは香港に逃れて香港で著作を始めた。
映画も長い間香港だけであったが、金庸や古龍や梁羽生の優れた小説が有名になり、それをを元に、次々と台湾でも作られるようになり、改革開放以後は大陸でも新たに作られるようになったのである。
それが世界に出たのがグリーンデスティニーだったというわけだ。
空を飛ぶ以外に特徴があるのが、女性剣士であろうか。日本のアニメの影響か少女剣士も多い。それが男以上の活躍をする。非力の女性が活躍できるのは内功(はやくいえば、習得できる超能力)による。だから体力の衰えた老人も内功が強いために活躍できるのだ。高齢になればなるほど内功が強くなる。
そのためコスプレに近くなる。
・舞台
清朝以前。元金清などの異民族との戦いが多い。
・剣戟
剣の他、刀・槍・鞭などあらゆる物が武器になる。剣の他、刀・槍・鞭などあらゆる物が武器になる。神侠侶では長い鬚を武器にする人もいる。小龍女は白い絹の帯である。東方不敗は刺繍針と刺繍糸である。
・拳脚
これだけだと、いわゆるカンフー。
・内功
上に説明したが、これぞ武侠の決定版。剣戟や拳脚などを外功といい、目に見えない内功がしっかりしていないと、外功も力が弱い。どんなにありえない設定も「内功があるから」で片が付く。これは一種のエネルギーで、体内に蓄積される。無尽蔵ではない。
・老若男女平等
これも上に説明したが、内功さえあれば老若男女に関係なく強くなれる。そして組織内では、強い順あるいは入門順に序列が決まり、老若男女が平等なのだ。わたし(謫仙)は、これこそ中国庶民に好まれる最大の理由ではないかと思っている。
・薬
もう一つ面白い話が薬である。薬を飲んで鍛錬すると超人になれるというお約束があり、これぞドーピングの極致。
これで判るように全てお約束の世界である。SFと同じなのだ。
これまでに有名になった、多くの映画を紹介しているが、これは割愛する。わたしが今までに紹介したのはそのごく一部に過ぎない。
最後にやたらにある決闘シーンについて。これはオペラなどで、不必要なところでダンスシーンがあるのと同じだという。観客に対するサービスである。ここまでくると、不自然さが表に出て、わたし(謫仙)などついていけなくなります(^。^))。