本は雲外の峰で紹介し、こちらは内容のメモでネタバレを全く気にせずに書いています。
第三十二回
春になる。険しい山にさしかかった。樵(実は日値功曹、陰で三蔵を守っているうちの一人)がいて、危険だと忠告する。
山は六百里、平頂山という。蓮花洞(れんかどう)に2匹の魔王が住んでいる。唐僧を食ってしまおうと待ち構えているという。
八戒を下見に出すが、さぼって嘘の報告をする。もちろん悟空にはばれている。もう一度下見に出す。
2匹の魔王とは金角大王と銀角大王の兄弟。弟の銀角が山の見回りに出てくる。
八戒は銀角の一行とばったり出会って、生け捕りにされてしまう。
第三十三回
三蔵たちは、八戒が戻らないのは、何もないからではと、進み始める。
銀角は唐僧が近くにいるはずと、もう一度見回りに出て、一行を見つける。洞窟の四五百の兵力では悟空の力には対抗できないとみて、騙すことを考える。この銀角は慎重。そこで、近くの道観の道士が怪我をしたふりをしている。
三蔵は助けようとするが、道士を背負った悟空は妖怪だと見抜いている。悟空はわざと遅れる。
三蔵たちが見えなくなってから、銀角は須弥山を悟空の頭に落とす。左の肩で受ける。今度は峨眉山を落とすと、右の肩で受ける。そして素早く走っている。さらに泰山を落とすと、さすがの悟空も動けなくなってしまう。
最初に書いたように、 須弥山と極楽 に書いた世界図では、須弥山(56万キロの立方体)こそ超巨大で、それに比べて峨眉山や泰山は微小なもの。当時の中国精神世界における比重を表しているか。それが平頂山に収まるかという問題はおいといて。
ともかく一行は捕まってしまった。
金角は悟空の力が心配で、宝物を手下に持たせて捕まえようとする。赤銅の紅葫蘆(ひさご=瓢箪)と琥珀の浄瓶(じょうびょう)だ。
口を下に向けて相手を呼んで、返事をすればその中に吸い込まれてしまう。口に「太上老君 急急如律令 奉勅」のお札を貼れば、中に入った者は溶けてしまう。
悟空はここの山神と土地神に助け出される。宝物の威力を知り、悟空もにせの宝物を作り、金角の手下に天を封じ込めると言い出す。できたら宝物を交換することになる。悟空は玉帝に天を隠してもらう。まんまとふたつの宝物を手に入れた。
第三十四回
金角の手下2匹、悟空から手に入れた葫蘆(ひさご=瓢箪)を試してみてにせ物であることに気づいた。殺されるかもしれないが、銀角に謝ることにして、洞窟へ帰っていく。悟空は蝿になって妖怪のあとをつけていく。
金角と銀角は怒ったものの、手下を許してやり、残りの三つの宝で悟空を捕まえようとする。三つの宝とは七星剣と芭蕉扇と幌金縄(こうきんじょう)で、幌金縄は圧龍山圧龍洞にいる母親の所にある。唐僧の肉を食べに来てもらい、ついでに幌金縄も持ってきてもらうことにする。
2匹の使いについていった悟空は、圧龍洞が近づくと、2匹を殺して、妖怪に化けて妖婆の所へ行く。
妖婆はかごに乗って出かけるが、途中で悟空が退治してしまう。正体は九尾の狐だった。悟空は幌金縄も手に入れる。妖婆に化けて蓮花洞に乗り込む。
妖婆が殺されたと連絡があり、悟空が化けていることがばれてしまう。戦いになる。金角は全てを返して手を引こうと提案するが、銀角は戦いを継続する。
悟空は幌金縄を投げるが、呪文を知らないので効果なく、逆に幌金縄に捕まってしまう。見張りのいないときに逃げだし、別名で乗り込む。だが偽の名を呼ばれたとき答えると葫蘆に吸い込まれてしまう。偽の名でも答えさえすれば吸い込まれるのだ。
本来なら溶けてしまうところだが、さすが悟空は溶けない。
悟空の声で半分溶けたと思った銀角が、蓋のお札を剥がしたすきに、悟空はにこ毛を化けさせた偽物を残して出てしまう。酒盛りをしている金角銀角から葫蘆を取り返す。
第三十五回
悟空はまたもや偽の名前(行者孫)で門前に来る。そして銀角と葫蘆(ひさご)を見せ合う。銀角が持っているのは悟空が作った偽物。お互い名前を呼び合う。悟空が返事をしても何ともない。銀角は「おう」と返事をすると、悟空の葫蘆に吸い込まれてしまう。間もなく溶けてしまった。
悟空と金角の戦いになる。悟空はにこ毛ひとつかみの身外身の法で悟空の分身を作り、金角の子分どもを退散させる。
1匹残った金角は、背中から芭蕉扇を取り出し、扇ぐと地上から炎がたち、天地を焦がす勢いとなった。
悟空は1匹の分身を残して、にこ毛を回収し、蓮花洞へ行く。琥珀の浄瓶(じょうびょう)を見つけ外へ出ると、金角に追われ、觔斗雲で逃げることになる。三蔵たちの救出ができないままであった。
金角は、弟銀角が死に子分どもも死に絶え、嘆き悲しんでいる。その後眠り込んでしまったスキに、悟空が芭蕉扇を奪ってしまう。
再び悟空と金角の戦いになる。決着がつかず、夕方になると、金角は圧龍洞(母親の妖婆がいたところ)へ逃げだす。
ようやく、三蔵たちを助け出すことができた。
金角には叔父の狐阿七大王なる助っ人が現れ、悟空たちを襲う。戦いになるが、八戒がまぐわで狐阿七大王を倒す。狐の化けものであった。
金角は逃げだす。悟空が琥珀の浄瓶を持って追いかけ金角大王と呼ぶと、「おお!」と答えた。当然浄瓶に吸い込まれる。
山は清められ妖怪はいなくなった。三蔵一行はまた西へ旅を続ける。途中で「宝物を返せ」という盲人がいる。よく見ると太上李老君である。宝は老君のもの、金角銀角も老君の小者であった。悟空は監督不行届きだという。
なんと南海観音が、三蔵たちの意志を確かめるために仕組んだことであった。
おいおい、四年ほど旅をしてここまで来ている三蔵たちをまだ信用できないのかよ。おまえ本当に観音なのか。
第三十六回
もう長安を出て四五年たっていた。
実際にはインドまで3年ほどで着いている。通過した国が128国、3万キロという。
またもや前方に山が見える。勅賜宝林寺という大きな寺があったので宿を頼むことにする。三蔵が直接住職に頼んでも断られてしまう。悟空が脅かして泊めてもらうことになる。僧の数は四五百人もいる。
月のきれいな夜だった。三蔵たちはしんみり話をしていた。
今回は何も起こらない。
第三十七回
真夜中、三蔵が寝ようとしたころ、戸外に来て語る幽鬼がいる。
ここから西へ四十里、烏鶏国の建国の王であった。5年前に旱となり、雨乞いをして3年たったが、井戸も川も干上がって、国は危急存亡の瀬戸際となった。そこへ鐘南山から全真派の道士がやってきて、風を呼び雨を降らせ石を金に変えた。王は弟として遇した。2年後、その道士に井戸に落とされ、その道士は朕に化けて3年たつ。
つまり、その妖怪を三蔵の弟子に退治してもらいたい、というもの。
年数が合わない。それはともかく。金庸迷なら判るが、王重陽が全真派を興したのは南宋の時代。唐の世にはなかった。(鐘南山は終南山と同じ発音)
王の幽鬼は、明日太子が狩りに出るので、そのときこの次第を伝えてもらいたいという。証拠の品として、白玉の珪を出した。
悟空はウサギに化けて、太子を宝林寺に導く。太子はことの次第を聞くと、兵は宝林寺に残し、単身王宮に乗り込み母の所に行く。
第三十八回
太子は、この3年間、母に会わせて貰えなかったので、こっそり裏口から入る。
母にことの次第を話して、宝林寺に戻った。
悟空と八戒はふたりで王宮に乗り込む。空を飛んで来たのに、わざわざ門外に降りて、八戒は「門が閉まっている。どうして入ろうか」なんて言っている。いつものパターン。もちろん城壁を飛び越えて入る。
井戸に八戒を入れて、王の遺体を引き揚げる。全然傷んでいない。
第三十九回
王を生き返らせるため、太上老君の所に行く。九転還魂丹を一粒もらってきた。
金丹(九転還魂丹)を王の口から流し込む。悟空が息を吹き込むと生き返った。
一行は王を連れて王宮にのりこみ、にせ王を暴き、王を王座につける。妖魔は逃げだすが悟空が追いかける。妖魔は王宮に戻ってきて三蔵に化ける。これが見分けがつかない。
三蔵が「緊箍児呪」をとなえると、悟空は金箍(金のたが)が締まって頭が痛くなる。それで見分けられた。
再び逃げだしたのを追いかけると文殊菩薩が現れた。化けものは文殊菩薩の獅子王だった。
第四十回
初冬のころ、烏鶏国を出て半月、高い山が現れた。山は険しく、窪みから赤い雲がだち登り火となる。そして裸の小さい子供が木に吊されて「助けてえ!」といっている。妖怪だ。
悟空は縮地の法で三蔵たちを先に行かせたが、またもや後ろから「助けてえ!」の声。悟空は山をひとまたぎできなかったことを悔やむ。妖怪には空から見つかってしまう。
また裸の小さい子供が木に吊されている。近くの村の子だという子供を助けると、馬はイヤだ、八戒はイヤだ、沙悟浄はイヤだ、で悟空が背負うことになる。もちろん悟空はひと目で妖怪と判っている。
子供が急に重くなる。悟空が子供を石に叩きつけると、寸前に肉体を残して逃げてしまう。そして妖怪は大風をおこし三蔵を掠ってしまう。
土地神が集まってきた。山の名を六百里鑽頭号山という。
妖怪は山のなかほどの枯松カン(さんずい+閨j(こしょうかん)という谷のほとり火雲洞に住み、名を紅孩児といい、号は聖嬰大王という。
牛魔王と羅殺女(らせつにょ)の子であった。牛魔王は第三回で悟空の兄弟分になっている。
街道を百里ほどで妖怪の洞窟に至る。沙悟浄に馬と荷物の番をさせ、悟空と八戒で洞窟に向かう。
第四十一回
悟空と紅孩児は戦うが悟空が優勢で余裕を持っている。それを見ていた八戒は、悟空が手柄を独り占めしてしまうと手を出したため、紅孩児は逃げてしまう。紅孩児は洞窟の前で車に乗って火を噴く。悟空と八戒は火から逃げだす。
火の対策で、悟空は東海竜王の助力を頼む。四海の竜王が集まり悟空に助力して雨を降らせるが、紅孩児の三昧の真火は雨では弱められない。悟空は散々な目に遭う。
悟空は竜王たちを帰らせ、南海観音に助力を頼むため、八戒を使いに出す。
紅孩児はそれを知り、観音の姿に変わって、途中で待っている。そして八戒を洞窟に連れて行き、捕まえでしまう。
悟空は怪しいと気づき、洞窟のの前で挑戦し、逃げるふりをして風呂敷に化ける。紅孩児の手下が拾ったため、悟空は洞窟に入ることができた。
紅孩児は老大王を招待するため使者をだす。
第四十二回
老大王とは牛魔王のことと知っている悟空は先回りして、牛魔王の化けて先で待っている。そして牛魔王として洞窟に入る。
紅孩児は牛魔王に化けた悟空の話がおかしいと気づき、自分の誕生日を問う。悟空が知らないのでばれてしまう。悟空は金光と化して逃げたした。そして南海観音に助けを求める。
観音は浄瓶を海に投げると、亀が浄瓶を背負って現れた。浄瓶はこの世の全ての水を飲み悟空にも持ち上げられない。
この世の全ての水を飲んだのに、どうして亀は海から出てきたのだろう(^。^))。
観音は李天王から36口(ふり)の天罡刀(てんごうとう)を借りた。
浄瓶の水は谷川に流す。辺りの景色は普陀落山のようになった。
観音は天罡刀を蓮台にした。悟空を囮にして、紅孩児が蓮台に座るようにする。蓮台が刀に戻る。刀が身体に突き刺さり、紅孩児を捕らえる。
観音に帰依させ、善財童子とする。頭には悟空と同じような金環を頭に嵌めてしまう。
悟空の場合は緊箍(きんこ)で「緊箍児呪」でしまる。善財童子の場合は金箍(きんこ)で「金箍児呪」でしまる。善財童子は刀から逃れると、反抗しようとしたが、「金箍児呪」で頭が痛くなる。