2006年10月06日

笑傲江湖 2001年版3

   笑傲江湖2001年版3(江湖世界の概要とストーリー矛盾)
 最終回、実に不自然な終わり方をした。なるほどこれでは金庸先生が怒るわけだ。
 岳不群が華山思過崖の洞窟に正派の人たちを集めたが、そこで立場がまずくなったはずなのに、次の場面では正派の頭領として恒山を攻め終わり尼僧を人質にしている。その次の場面では黒木崖(邪派)に攻め上がっている。

 笑傲江湖第五巻P307に恒山から黒木崖に向かう場面がある。

 黒木崖は河北の境にある。恒山から東の向かってすすみ、ほどなく平定州にたどり着いた。…略…。
 その晩、盈盈と令狐冲は平定客店に投宿した。そこは日月神教の総本山にかなり近く、町の中を教徒が往来している。

 現在の地図を広げてみると、恒山そのものが、山西省東端に近く五十キロも行けば河北省にいたる。そのまま東に向かえば、北京もそれほど遠くはない。二百キロくらいか。
 問題の平定州だが、恒山の真南二百キロ程度の所にある。ここが日月神教の本拠地であろうか。名前を借りただけかも知れないが、東ならば恒山から五十キロ程度ということになる。

 華山から恒山まで直線距離にしても北の方へ約七百キロ。それを隣町に行くように行き来している。
??н.jpg
 黒木崖で岳不群は、なんとひとりで任我行や向問天を倒し、令狐冲まで傷つける。ひとりで攻めてきたわけではなかろうに。そして岳不群が死に、場面は恒山に帰って結末。
 また林平之もかなり違っているよう。

 原作では黒木崖はエレベーターで上下する。それでは大軍が攻め上がるのは不可能。だから任我行が配下をそろえて戦いのために出て行く。ドラマの前の方でエレベーターの場面がなかったのは、こう結末を変えるための布石だったのか。(もちろんそれ以外の道もなかったわけではないだろうが、忍び込むときでさえ、エレベーターを使用するほど)

 また元に戻って、江湖の英雄たちが思過崖の洞窟に集まったところで、岳不群によって閉じこめられ、暗闇の大乱闘の後に、令狐冲と任盈盈はようやく脱出するのだが、そこで岳不群に捕まり殺されそうになる。そこへ儀琳が助けようとして岳不群を殺す。救出と師父の敵討ちをしたことになる。

それなのに、この2001年版では洞窟では乱闘にならず、岳不群は死なず、黒木崖へ攻め入るのだ。それでは恒山派を攻めた理由が判らない。
 それまで、かなり原作に沿っていたため充分に説明していたが、ここでは説明もない。結末だけが、従来のドラマのレベルに落ちている。ああここが肝心な所なのに。ストーリーに必然性がなくなってしまった。ここまでの堂々たる歴史小説(?)が、アクション映画に変わってしまったのだ。
 原作では日月神教(魔教)教主任我行が黒木崖から出て華山の東峰に行き、武林の人々を招集する。それが岳不群などが死んで間もなく。つまり五岳剣派のうち恒山派以外は亡んでしまった直後だ。だが、任我行は突然死に、娘の任盈盈(聖姑)が次の教主になって(すぐに向門天に譲る)、江湖に平和が訪れるのだった。

 よかったのは日月神教の教主である東方不敗の扱い方である。準主役クラスに匹敵する存在感のある人物だが、登場と同時に死んでしまう。従来はいろいろと活躍させたが、今回は原作以外は一切なし。そして、武林最強の男なのに、なぜか表に出ない(興味がない)。その理由がよく判るのだ。

 一つ、長年の疑問が解けた。
 武侠ドラマによく煙のシーンがある。よくどころではない全編煙だらけである。
 今までそれを炭焼きや焚き火、また陶磁器やレンガを焼く煙などと思っていた。しかし都市近郊ばかりでなく、人里離れた深山でもある。道があるのだから人がいるのは当然、つまり炭焼きがいても当然と思っていたが、大変な錯覚に気がついた。このシリーズは中国の名勝の宣伝も兼ねている。実際の深山幽谷では雲や霧は多い。その霧や雲がドラマではかなり不自然なのだ。そのシーンを見てはたと思い至った。今までのあの煙は炭焼きの煙ではなく、霧や雲のつもりではないか。

 それに関連して思ったのが、料理店などのテーブルを叩くとほこりが舞い上がる。まるで数ヶ月も掃除をしていないよう。昔の中国とはそんなところと思っていたが、考えるとおかしい。客が来れば当然掃除はする。叩く威力を表現するにしても、いいやり方とは思えない。謎だ。
posted by たくせん(謫仙) at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 笑傲江湖 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック