作者は古龍、台湾の武侠小説作家である。
すでに故人であるが金庸に並ぶ人気者である。人間的には少し問題もあったようだ。裏社会との交流があったという。また著作権に無頓着で、代作をさせたりしている。
楚留香とはルパンのような人物、のふれこみだが、内容は活動するホームズだ。武侠小説のミステリーで、その謎を解くほうだ。
盗みの現場に香りを残すというのだが、その名人ぶりは一度も出てこない。おそらくこのシリーズの他の話にあるのだろう。
訳者は土屋文子。岡崎由美とともに金庸の武侠小説を訳し、日本に紹介した人物である。
この文庫本の発行は1999年。最近になって存在を知り図書館から借り出すことができた。
わたしは前に古龍の「歓楽英雄」を読んでおり、この本も武侠作品として読もうとしたが、ミステリーが中心で、はっきり言って好みではない。
なお、時代性はない。髪型は弁髪ではない。纏足はない。商業が発達している。架空の時代の話と思っている方がよい。
この本もそうだが、武侠小説の翻訳者は女性がほとんど。おもしろい現象である。