2006年05月20日

朱鎔基 −普通に退任した首相−

 2000年12月に書いた文
 中国の朱鎔基首相が来日し日本人民衆との対話を試みた。これは録画放送された。
 わたしは次の二点を期待した。
1 台湾問題は大量殺人(戦争)によらずに解決する決心を示して貰いたい。
2 内陸地方の経済的貧困をいかに解決するのか。
  いずれにも充分な回答は得られなかった。

1 わたしはある中国人留学生に、
「台湾は独立国家ではなく、中国の一部でしょう」
と、詰め寄られたことがある。その問題が発生した理由は省くが、わたしは次のように答えた。
 中台双方が中国はひとつと言っている以上、外国人が口出しする理由はない。中国人同士で話し合って解決すべきである。
 その留学生は国際関係を学びたいと言っていたので、さらに、次のような問題を提起した。
(1)独立国家とはなにか。独立国家の条件はなにか。
(2)独立していない国家はあるのか。
(3)台湾の現状はどうか。(1)のうち、どの条件を満たしていないのか。
 今の中国は北京・台北・香港の一国三制度ではないか。
 これに対して、いまだ答えはないが、考えるきっかけになってくれればよい。
 わたし自身は認められていない独立国だと思っている。
 しかし、朱総理はどう考えているか知りたかった。少なくとも大量殺人による解決は避けることを表明して欲しかったのだ。
2 1999年にわたしは敦煌に旅したことがある。このとき、女工の時給が一元だと聞いた。つまり月給百七十元程度である。西安では七百元という。ところが上海では五千元を超え、一万元になる人もいるという。
 これらの数字を見ただけで大問題だと思う。つまり中国国内の南北問題である。この解決策を示して欲しかった。しかし質問がなかったので当然答えもなかった。
 それ以外に注目すべきことがあった。次の点は中国の要求によって放送では削られたという。
3 朱総理は中国国内では日本に対して軟弱だと言われている。
 また、中国国内放送では次の点を削ったという。
4 日本の経済協力に感謝する。
 3と4は放送にはなく、新聞報道によって知ったのであるが、次の疑問が生じた。
 軟弱だと言われていることを日本人に知られるのをなぜ恐れるのか。
 いまだもって中国政府は、日本から多額の援助を受け取っていることを国民から隠そうとしているが、この隠さねばならない理由は何か。
5 戦後処理について
 「日本は正式に文書では謝罪していない。文書化するかどうかは日本の問題である」
 これは暗に日本は充分に謝罪しているので、中国ではもはや問題はないということを、示しているのか。わたしはこう受け取ったが、政治家の話はそんな単純なものではあるまい。文書化しなければ、いつまで経っても謝罪を要求すると言っているのかも知れない。
 日本の政府首脳にもこう言ったのか気になるところである。なにより中国国民に対してそう言っていないように思える。
 全体的には次のような印象を受けた。
「朱総理は聡明な人である。周恩来・とう小平とならぶ、戦後中国の三大政治家ではないかと思う。現代の王安石である」 二十年後にも、この評価が変わらないことを望む。
posted by たくせん(謫仙) at 11:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 人物像 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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