そうはいっても、仮定世界であり、この世界の約束事を承知できないとむなしい。SF小説を楽しめる人ならば、武侠小説も楽しめるはずだ。その中でも金庸作品は群を抜いている。
多くは金・元・清の異民族による中国支配とそれを阻止しようとする漢民族の戦いという形である。
主人公は異民族支配に抵抗するが、実は異民族の王朝の方が漢族王朝より優れているという、皮肉な結果がある。
金庸は香港の作家である。中国でありながら、異民族に支配されているところであった。そしていわゆる中国より、香港の住民の方がはるかに豊かな生活をしていることは、周知のとおりである。これが金庸作品が、偏狭なナショナリズムに陥らない理由ではないかと思う。
金庸は1924年浙江省海寧県で生まれた。本名査良縺Aもともと明報の新聞社社主である。その「明報」紙上で武侠小説と社説を書くという、政治評論家でもある。また政治家でもあり、大富豪でもある。
1955年から1972年まで12編の長編小説を発表し、筆を折った。それらの作品はすべて映画化された。
いま、これらの小説が日本語に翻訳され、陸続と出版されている。訳者はほとんど女性である。
参考文献
徳間書店
金庸の世界 監修 岡崎由美
きわめつき武侠小説指南 −金庸ワールドを読み解く−
監修 岡崎由美
小説 ヒロイン
書剣恩仇録 香香公主 ホチントン
碧血剣 夏青青
侠客行 阿繍
雪山飛狐
連城訣 水笙
射G英雄伝 黄蓉
神G侠侶(神G剣侠) 小龍女
笑傲江湖 任盈盈
倚天屠龍記 趙敏
越女剣(中編集)
飛狐外伝
天龍八部
鹿鼎記