2006年05月16日

中華英雄伝(霍元甲)

06.3.31
 ビデオだが、趙文卓主演の霍元甲がある。題名は「中華英雄伝」三巻。
 この霍元甲は実在の人物で、革命前夜のころの武道家である。この中に日本人が登場するが、それがいかにも嘘っぽい。
 第一巻では剣道の稽古をするシーンがある。なんと下駄(?)を穿いている。屋外だから履き物を履かせるのは仕方ないとしても、その下駄が横から見ると「 ] 」を横にしたような形で、しかも歯が短く、落語の下駄のよう。もっと歯を中央近くに寄せないと下駄にならない。本物の下駄を知らない人が作ったのか。
 そもそも竹刀の持ち方がおかしいし、剣法が刀ではなく剣のように動く。防具も小手がなく手っ甲と手袋、面も不思議な形。剣道を知らない人が考えたのか。剣道というので、剣の扱い方で竹刀を動かしているようだ。
 本来が嘘の話をするときは、こういう細かいことを正確にするのが迫力を出すコツなのだが。
 今中国では、李連傑主演の新作映画「霍元甲」が公開されていて、日本でも間もなく放送という予定であるが、その霍元甲の子孫から放映中止を求められているという。霍元甲をモデルにした映画であっても、ドキュメンタリーではないのだが、どうなるのだろう。

 本題の方は、第一巻は、天津で勉強していた霍元甲が、北京に出てきて武林で活躍を始めるまで。
 第2巻では、武林の者たちが外国排斥運動をおこし、外国軍の北京侵攻の口実を与え、清国政府はその時点でも派閥抗争に明け暮れ、結局、八カ国連合軍が北京に来て乱暴狼藉をはたらく。
 霍元甲は、一度天津に戻る。
 第三巻では、上海に行く。そこで拳法の道場を開くが、病を得て若くして亡くなる。その2年後に辛亥革命が起こり、清朝政府は滅びたことから、年代を推測できよう。上海では日本の武術家と争うが、その武術家の武器は日本の「かたな」ではなく中国の「刀(とう)」、刀の動かし方も剣に似た動きの突きが中心。着流しで戦ったりする。その死だが、病になって薬を飲むのだが、それには毒を入れられる(薬の効かなくする薬かも知れぬ)。誰がそんなことを画策したのか不明のまま終わる。

 注: 霍元甲は若いときに気功の訓練をして胸を患い、それが元で亡くなった。これを日本人が薬殺したストーリーにして、過去に大ヒットした。そのため本当に日本人が殺したと思っている中国人が多いらしい。今ではなんでも悪いことは日本人のせいにすることは少なくなったという。ここでは犯人不明のままである。清朝のスパイらしく思えたが、日本向けにカットしたのかも知れない。

 宋朝を舞台にした射chou19.jpg英雄伝の丐幇などの私兵組織は、国の軍が役に立たないので、代わりに外国侵略軍と戦う。有名な岳飛もその戦力は私兵なのだ。
 政府が外国軍に対抗できないため、私兵の組織が抵抗運動を起こし、外国の侵略の口実を与える。そんな組織の一つに霍元甲の組織もなるのだが、一応ビデオでは他の組織より優れているようにえがかれている。実際にはどんな組織だったのだろう。ただの町道場の武術師範のようにも思えるが。
 日本でいえば若き日の嘉納治五郎かな。おそらく死なずに活動を続けていればそうなったであろう。
 この私兵の考え方は革命後も続き、地方軍閥となって内乱が続いた。そのため日本軍につけいられる隙ができた。共産政府になっても長い間共産党軍であり、国軍が成立したのは文化大革命以後ではないか。
posted by たくせん(謫仙) at 15:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 武侠世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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