2009年07月30日

第5回武侠迷大幇会

 7月25日、第5回武侠迷大幇会が行われ、わたしも参加した。なんのことか意味が判らない人もいると思うが、武侠ファンのオフ会だ。迷はファンの意味。
 今回で三回目の参加である。場所は新宿の「満月廬」、新宿末広亭の斜め向かい。末広亭には若いころ何十回も行っているので、迷うことはなかった。
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 満月廬の入り口。場所を紹介しないわけにはいかない。
 ここの三階を借り切った。階段を上がると二階から三階に上がるあたりから、床がネチャネチャする。歩くと音がするほど(錯覚か)。部屋に入って絨毯の上に移っても、ジッとしていて靴が絨毯になじむと粘り着く。ゴキブリになった気分。不況の影が落ちているのか。
 早めに着いたと思ったが、もちろん係りの人はすでに準備していた。今回の参加者は四十人余り。
  
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 受付のおなじみの絵は、右は北丐、左は西毒。

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 受付の背後には幇会の印の扇(^。^)。かなり大きい。

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 人が集まると写真を公開できなくなるので、人が集まる前に会場の様子を。

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 持ち込まれた香港漫画の一部。これは商品の紹介なのだが、内容はわたしには付いていけないほど。名前は神G侠侶とか天龍八部だが、それの漫画化というより、翻案に近い。
 たとえば真ん中。神G侠侶には、こんな怪物は出てこない。この棒を投げて、城(日本でいえば天守閣や櫓)を吹っ飛ばす。そんな力があるならば、金庸の神G侠侶の物語は成立しない。

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 同じく、神G侠侶の小龍女。南宋の時代にこのような服装の女がいるはずがない。
 香港では百年以上前から洋装に慣れて、違和感が無いのかも知れない。
 ただし、中国にこのような洋装が伝わっていなかったとはいえないが、道教の道観近くで自給自足の小龍女がこのような服装をしたとは考えられないし、金庸さんの記述は無い。記述が無いなら、していなかったと考えるのが普通であろう。
 これらの香港漫画は、全体的に現代人がタイムマシンで移動して、その時代に登場したような印象がある。さらにあり得ない超人。時代考証が頭にない。NHKの「天地人」の髷がおかしいと言う人なら、このおかしさは判るはず。
 これが古龍ものなら許せる。つまり古龍はこの地球の物語ではない(と言えるのかな)。違う星の違う歴史を持った違う人が住む国の物語。たまたま中国にそっくりだった。
 しかし、金庸小説はこの世の物語だ。だからもしこのような人物が登場するなら、街の作り方城壁の作り方は変わり、人の考え方が変わり、歴史も変わってしまうので、登場させられない。

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 左、今回の入場券、会員の自作である。左は東邪、右は南帝(出家して一灯大師)。
 右、その裏側の一部。北は北丐。西は見なかったが西毒のはず。
 中は中神通。もっとも中神通の義弟の周伯通のイメージに近い(^_^)。

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 武侠人形、これは北丐こと洪七公、高さは二十五センチくらいか。上手いものだ。背中の棒は打狗棒、丐幇の幇主の印。
 製作に一ヶ月ほどかかったという。

 一時間ほどして、岡崎由美さんが登場。律儀に来てくれた。岡崎さんの挨拶のあとお宝映像の上映だが、手間取ってしまってなかなか始まらない。買ったばかりのDVD機の扱い方に手間取ったようだ。このDVD機はこの日の景品(^。^))。映像は「大唐游侠伝」と「倚天屠龍記」の予告編。まだ編集前なので音ナシ。いまひとつ盛り上がりに欠けたのは、手間取ったせいか。内容が判りにくかったせいか。それとも岡崎さんの解説がなかったせいか。

 料理の話もしよう。もちろん中華料理。
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 それなりに美味しく、悪くはないのだが、写真下部の北京ダックだけはいまひとつ。あまりに薄くて…。

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 右上は餃子だったかな。美しさに歓声があがった。

 一応、全国の武侠迷が集まることが前提だが、さすがにそれは無理。遠い人は東京までの往復だけでも大変だ。
 わたしの知る限りだが、香川・兵庫・三重あたりが遠いところからの参加者。もちろん泊まりがけ。常連ともいえる関西の女侠たちが来られなかったのが寂しい。今回中心となった関西幇主以外の役員は関東の人がなった。
 会が終わり、半分ほどは二次会。ある女性会員の案内で行った所は歌舞伎町の路地裏ともいうべき所。中国料理店だが、知らないでは一人では怖くて入れない(^。^))。
 頼んだら、ビールは普通だがその他は缶◯◯が出てきた。料理も隣近所の店で作るらしい。これは考えてみると、上手いやり方ではないか。地域全体で一軒の店のようだ。
 ただし、ここの料理は、わたしには個人的な理由で合わなかった。それが理由ではないが、わたし一人がはやばやと帰ることにした。それでも駅を下りたときは終電車の一本前の電車。なんとか無事に家についた。

 手にした景品は「荊軻」「生死決」いずれも香港映画のようだ。
 特筆すべきは、香港漫画を持ち込んだ女性。その人がある小説の「おためし版」を自分で翻訳製本して、希望者に与えたこと。わたし以外に何人貰った人がいるのか知らないが、翻訳に半年、文字の打ち込みと製本十五冊で、結局一年近くかかり、疲れたと言っていた。まだ個人の趣味の範囲に属し、正式に翻訳したものではない。だから商品ではないし商品化もできない。
 まだ読んでいないので、中身についてはなにも言えないが、チラッと見た感じではなかなかのできばえのようだ。
posted by たくせん(謫仙) at 06:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 武侠世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
イラストの中のは王重陽ではなく周伯通です。
というのもイラストのモデルになっているのはドラマ版射Gですので、王重陽にすると張紀中がモデルになってしまいます(^^;
それよりは人気のある周伯通のほうが、見た目にも楽しいだろうということで中は周伯通となりました。作中でも実際に活躍しているのはこの5人ですから。

お宝映像の方は、店側が用意してあるはずのスピーカーがなく急遽パソコン用のを持ってきたものの端子があわず、えむやんさんが変換プラグを確保してきてくれてようやく上映することができました。
パソコン用のスピーカーのため音声も小さく後ろの方では聞き取りにくなってしまい失礼しました。
映像のなかには効果音のみで中国語の音声はないので、先生に訳してもらうにも出番がありませんでした。

2次会の店は「上海小吃」といい上海家庭料理そのままの味を売りとする知る人ぞ知る店です。日本でもここでしか食べられないメニューも多いでしょうね。
http://shanghai-xiaochi.com/
今回入ったのは店の裏手にある大人数用の部屋です。厨房は3階にあるので店員が下から大声で注文をします。
関西で本拠地にしている店が、ここほどではないですが似た感じなので私はとてもくつろげました(^^;
Posted by 八雲慶次郎 at 2009年07月30日 20:44
八雲さん。
 ああ、やはり周伯通ですね。 王重陽は故人なので、実際のイメージはありませんからねえ。
 お宝映像は今回もえむやんさんの骨折りですか。いつもえむやんさんのお陰でなんとかですね。池袋のときは、ビデオが映せなく、その場で近くの電器店にいき、機器を買ってきたり。
 映像は見ていても倚天屠龍記とは気が付きませんでした。エンドに倚天屠龍記とあってやっとそれと判りました。まあどこかで出ていたのを見逃したのでしょう。
 実際にDVD化してから、ゆっくり見ることにしましょう。
2次会の店の上海小吃、「お噂はかねがねうかがっています」、本当に(^。^))。
 メニューを見たときあまりの多さにびっくりしました。「ホントにこんなにできるの」、しかし、八雲さんの説明で納得できました。
 実を言いますと、あの料理をまともに食べたら、次の日は臥すことになりそう。食べたのは美味しかったんですが。

注。
「お噂はかねがねうかがっています」とは、初対面の挨拶で、名前を聞いたこともない相手に恥をかかせないための気配り語。
 腹に一物ある人は「どんな噂だ」とねじ込んだり。
 天龍八部で阿朱がねじ込まれたとき、王語嫣が相手の本人も知らないようなことを話し、相手を凍りつかせる場面がある。あの場面は好きだなあ。
Posted by 謫仙 at 2009年07月31日 07:40
>お噂はかねがねうかがっています」
江湖でも気配りをしている言葉があるのがおもしろい。人と人との交わりがあれば、当然あるのでしょう。むしろあのような世界なので、決まり切った気配り語というものがいろいろあって当然ですね。
私の読んだ本にも有った記憶があります。
缶◯◯が出てきたのというのもおもしろい。当然値段も安かったことと思います。
それにしても、数時間のオフ会に四国や関西から参加するというのも、凄いことです。熱意のほどが分かります。
Posted by mino at 2009年08月02日 17:29
minoさん
日本の香具師の世界でも、このような決まった形式の挨拶語があるンでしょうね。
寅さんはいつも
「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で…」で始まるように。
わたしはそんなふうに思っています。
上海小吃は、上海庶民が普通に食べている料理が建前なので、高いことはないでしょう。
武侠ファンはまだマイナー。それだけに遠くからでも来るのでしょう。
なにしろ、関東で開く会を関西幇主が計画し実行するのですからね。
わたしもいつか関西に行って、関西幇会に参加してみたいと思っているンですよ。できるかどうかは判りませんけど。
Posted by 謫仙 at 2009年08月03日 07:04
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