2009年05月15日

憶江南6 屯渓

江南を憶う 屯渓

 バスで屯渓に向かう。景徳鎮を出て間もなくム(務の力の部分が女)原県で昼食をとる。景徳鎮の食事の評判が悪いので、新たに探したところという。なかなかご飯が出なかった。この地方では、酒を飲んでいる時はご飯を出さないのが習慣で、出しそびれたらしい。
 沈さんは言った。
「野菜中心ですが、これは日本人向けです。もし中国人にこのような料理を出すと、どうして豚肉を出さないと、文句を言われます」
 心配する料理人を説得したらしい。

 屯渓までバスで約五時間である。この間の山の斜面には茶畑が多い。民家は所々に集中している。まわりは白く塗ってあり、全体的にきれいな印象を受けた。
 このひとつの集落は、大概一村一氏である。その氏をとって〇家村(〇氏村かな)という。
 この地方の男はよく商売で外に出た。そうして成功して帰って来るとうだつの上がった家を建てる。逆に言えば村は女所帯になりやすい。そこで家を守るため、一族で集まって、全体で一軒のような家を建て、白くする。中は迷路のようになっているらしい。また、この地方はうだつを上げる習慣の発生の地だという。
 この日は屯渓に宿泊する。ホテルではちょうど結婚式があって、玄関先に新娘(花嫁)と付き添いの女の子がいて、写真を撮っている。
 側を通るとき、「コンシーコンシー」と声をかけると、新娘と女の子が笑顔で「謝謝」と言った。

 ガイドは前日かなり遠くまで出張したという。ある日本人客が盗難にあい、現金ン百万円をはじめ、パスポートや購入した高価な品物など、衣類以外はほとんどなくした。警察は現地のガイドの話を確認するため、呼ばれたらしい。二人の通訳の話をあわせて警察は状況を判断した。この日本人は、日本の大使館が開くまで、一週間は雪隠詰めである。

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 朝食前にホテル前の川岸を散歩した。

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 漁をしているのか。舳先と艫が反り返り、かなり細めの舟だ。

   …………………………
 大きな荷物はホテルに預け、手荷物だけで黄山に向かう。黄山の話は別立てにして、下山後の話を先にしたい。
 屯渓に戻って老街の見学である。品物はかなり割安らしい。ゆっくり見学できた。わたしには二度目の老街のである。
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宋・明代の町並みを踏襲している老街。
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江湖の英雄が酒盛りをしそうな雰囲気である。

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窓は電気のなかった時代を偲ばせる。

 昼食後、バスで杭州に向かう。六時間の予定であった。添乗員は、
「これから先は田舎道なので、三時間はまともなトイレはありません。ここで済ましてください」
と注意したのだが、屯渓の町を出て、バスの旅が始まると思ったころ、トイレに行きたいと言い出した者がいる。なんとか公共トイレを探したが、添乗員にとって冷や汗ものであろう。
 この後はどんどん山の中に入っていく。数回、逆方向に行く公共バスとすれ違う。二時間以上たったころか、添乗員は説明した。
「このあたりは未開放地域です。外国人は、トイレに行きたくても、バスを止めることも下りることもできません」
(中国語で「未解放」地域とは、中国政府の支配下にないということ。ここで「未開放」地域は外国人に旅行を禁止している地域のこと)
 西域やチベットなどの辺境以外にも、まだ未開放地域があったのかと、びっくりしてしまう。ここは大都市から数時間で来られるのだ。故意か偶然か、バスの後ろにはパトカーがついている。

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 峠に近い山の中の盆地状の地に、きれいな町が見えた。

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 富んでいるようだが産業は何だろう。ここは外国人は入れない。女性のガイドは日本人の友達を連れて来た話をした。一切喋らないようにしたという。

 バスはこの町を通り過ぎる。そこを過ぎてしばらくすると、突然道路がよくなった。安徽省から浙江省に変わったのだ。
 まもなくトイレの休憩をする。閉まっている店を開けてもらってトイレに入る。ここで山グルミの実を買ったが、おいしくない。
 この地方は鶏血石の産地らしい。店内に飾ってあったが、この石は真っ赤な血が流れているようで、何度見ても気持ち悪い。
 店の人は赤ちゃんを抱いていた。
「女の子?」
「そうです」
 赤ちゃんの顔を見せてくれたが、顔からは判断できない。
 道路の向こう側は田で、脇の溝にはきれいな水が流れていた。日本の山里を思わせる。
 夕刻になって杭州に到着した。
posted by たくせん(謫仙) at 07:15| Comment(6) | TrackBack(0) | 江南 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
突然のコメント失礼致します。
失礼ながら、相互リンクしていただきたくて、コメントさせていただきました。
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もしよろしければ、こちらのページから相互リンク登録していただけましたら幸いです。
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今後ともよろしくお願い致します。
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Posted by sirube at 2009年05月15日 08:44
sirube さん。
コメントを書き忘れていますよ。
Posted by 謫仙 at 2009年05月15日 11:43
中国の旅の様子、面白く読ませていただきました。
観光でも未解放地域を通れるのですね。
未解放地域でも、バスの中から写真を撮影してもいいのですね。
立派な都会に貧しい農村、そういう対比が中国ですが、
田舎の町のほうが味がありますね。

私も中国で航空券を採られた事があります。
航空券を持って行っても仕方がないのですが・・・
お陰で再発行で1万5千円取られてしまいました。
でも、パスポートでなくて良かったです。
Posted by オコジョ at 2009年05月15日 16:11
オコジョさん。
バスの中から写真を撮るのは、問題ありませんでした。
見学のために停車することはできません。
この街を通り過ぎたあたりで、パトカーはいなくなりました。偶然かどうか微妙です。

物が無くなってもパスポートがあればなんとか、といいますが、今ではカードもそれ以上に問題ですね。
台湾なら一人でも旅行しますが、大陸は今でもツアー頼みです。万一のことを考えると…。それに若いときとは違って、細かいところは全て任せて、旅行を楽しみたい。と思うようになりました。安全の問題ばかりではないんですね。
Posted by 謫仙 at 2009年05月16日 07:12
楽しく読ませていただきました。「未解放地域」というのは、正しくは「未開放地域」ですよね。外国人が自由に入ることの出来ない地域、という意味。「中国政府の支配下にないということ」の「未解放」と区別されます。
Posted by つちや at 2009年07月27日 07:55
つちやさん。ありがとうございます。
さっそく訂正致しました。
こんな簡単な言葉も区別できないのかとお笑いでしょう。m(__)m。
他にもありましたら教えて下さい。
Posted by 謫仙 at 2009年07月27日 11:09
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