2009年05月10日

憶江南5 景徳鎮

江南を憶う 景徳鎮
 蘇州で昼食後、夜行列車十四時間の旅のため、駅に向かう。景徳鎮方面行きの寝台車に、ともかく乗り込む。予約をしてあっても、席がないこともあり、あっても席番号が違うことがある。
 乗ってみて、席を確かめ、それから席を割り振る。これが一騒動であった。ようやく静まり、わたしたちは男四人で酒盛りを始めた。Kさんは瓶入りの大吟醸を持ってきていた。たちまちなくなってしまう。
 添乗員が様子を見に来る。沈さんが来たとき、「一緒にお話ししませんか」と声をかけたが、「あとで」と行ってしまった。
 乗車の直前に夕食の弁当を渡されたが、適当にホテルの残り物を入れたような感じである。中国では弁当の習慣がないと聞いていたが、この弁当を広げて唖然となった。饅頭一個・ソウセージ一本・スーパーで売っているような密封ポリ袋入り漬け物、あとは忘れたが、スナック菓子のような物があったような気がする。
「寝台車で寝ているとき窓を開けていると、駅で泊まったとき荷物を紛失する可能性がある。窓を閉めておくように」、といわれた。
 途中で「南京」のアナウンスがあった。窓のカーテンを開けると南京駅である。聞き間違いではなかった。旅程表に書かれた路線図とは線路が違う。景徳鎮に着いたのは午前四時半ごろである。
 添乗員の曰く、
「中国では列車が遅れるのが当たり前だが、今日だけは遅れてほしいと思った。しかし、定刻についてしまいましたね」
 朝食をとる予定のホテルに部屋を確保してあり、そこで朝食まで休む。

 31日
 景徳鎮は磁器の産地として高名である。北宋の景徳年間に景徳鎮と改名された。現在は江西省景徳鎮市である。
 漢代から陶磁器生産が始まっていたという。宋・元・明・清と絶え間なく磁器の優品を輩出した。官窯としても約千年の歴史がある。宮廷に納品され、欧州やイスラム圏への輸出も多い。日本でも多く輸入したが、これは特別な事情がある。
 陳舜臣さんによれば、いつだったか、経費節減で絵の具が制限された。わずかの絵の具で、省略した絵を描いたが、これが日本人の美意識に合い多く輸入した。だから日本人は景徳鎮といえばその時代のものを思い浮かべるという。
 その時代の磁器は、陶磁博物館では価値が低いとして収集されず、すっぽり抜けているともいう。

 朝食後、すぐ近くの陶磁博物館に向かうが、当地の男性ガイドは言う。
「八時には開くのですが、本当に八時に開くかどうか、わたしも自信がない」
 ちょうど鍵を開けているところだった。展示品の係員の説明が長く、一度には訳しきれない。
 そこを出て、古窯見学をする。門を入ると、編み物をしながらひなたぼっこをしている二人の女性がいる。帰りには四人に増えていた。
 轆轤を手で回して、粘土から形を作っている人がいた。当然ながら観光用であろう。売店では紙のように薄い磁器が目を引いた。
 窯も見学したが、現在では使っていない。
 わたしは煙で曇る街のイメージがあったが、ほとんどの窯は郊外に行き、街は割合きれいであった。

2001.12.1.44.jpg
 焼き物の煙はこの一本だけであった。昔の写真はこの煙が何本も立ち、街全体が煙の中にある。

2001.12.1.43.jpg
後ろはこんなビルがある。空は青く見えた。街全体が明るい感じがした。
posted by たくせん(謫仙) at 07:30| Comment(2) | TrackBack(0) | 江南 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
景徳鎮の呉須の磁器は有名ですね。
余白が無くビッシリ描かれた文様・・・
伊万里は空白があります。
この辺は好みでしょうね。
文化の差でしょうか。

磁器は陶器と違ってイビツを嫌います。
温度管理の安定したガスや、灯油、電気などの近代的な窯で
造られるのでしょうね。現在の日本も同じです。
一部の作家や、昔のイビツな味を求める以外は、効率が悪い、
薪の窯は使われなくなっています。
日本の美意識はそういうものを求めているようです。
新しい、創作より、過去の模倣・・
それがいいとは、私は思えません。

もっとも、私の陶芸はそれ以前です。
明日は陶芸の例会です。
ゆがんだものにならないように作りたいのですがも
また、歪みそうです。  笑
Posted by オコジョ at 2009年05月10日 21:18
空白の差、かすれたような線の魅力。日中の美意識の差を感じます。
根本は貧しさと豊かさでしょうか。
でも、景徳鎮以外の焼き物は必ずしも、びっしりと書かれているとは限りませんね。
みなのやさんも電気窯です。
ゆがみは嫌みか面白みか。好みが別れるところですが、わたしは使いやすさを基準に考えるようです。
Posted by 謫仙 at 2009年05月11日 07:02
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