2008年09月29日

ドラマ雪山飛狐 その3

第五集
 苗人鳳は蘭と一緒に家に帰るが、家は田舎の荘園、苗荘の当主であった。
 その苗荘は田舎なので豊かとはいえない。門も形だけで片側の屏がない。田舎暮らしのできない蘭は、苗家のわずかの蓄えを使ってしまった。

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 今でもそうだが、田舎の質素な暮らしと、都会の差は激しい。金額ベースなら農家の一年の収入も、都会の人の数日の費用ではなかろうか。南家は役人で裕福なはず。蘭には貧しさの意味が判っていない。蘭にも浪費している意識はあるようだが、家産が傾くほどとは思ってはいない。
 数ヶ月で10年分の支出と同じほど使ったという。
 蘭と苗人鳳は会話もとぎれがち。そのため蘭はさらに浪費する。
 苗人鳳は家産の畑を売ってまで金策に走る。そのため、蘭と苗家の使用人とはそりが合わなくなる。しかも苗人鳳が胡夫人と蘭を比べてしまうのを聞いてしまって、心が離れてしまう。
 そんなおり田帰農が来て、蘭の機嫌を取りながら、苗家の密書を手に入れようとするが、どこにあるか判らず、ついに屋敷に火をつける。火事になれば密書を持ち出すと思ったからだ。だか苗人鳳が持ち出したのは胡一刀の位牌だった。蘭と娘の若蘭を助け出したのは田帰農。蘭が田帰農と駆け落ちする予感。このあたりの田帰農はジゴロだと評する人もいる。

 もし恋愛映画ならなかなかのものと思うが、わたしはあまり興味がないので、二回目に見たときは早回しだ。
 小説では苗人鳳は使用人が大勢いるような大きな家の主人とはとても思えなかった。せいぜい借家住まいかと。

   …………………………

第六集
 苗若蘭が四歳。もう五年もたったのか。小説では三年、若蘭は二歳である。この四歳の若蘭役、けっこう表情が豊か。いわゆる子役節ではない。
 蘭は田帰農と苗荘を出て駆け落ちをする。田帰農は李自成の宝だけが目的だったが、今ではそれだけかどうか微妙。
 苗人鳳は若蘭の希望を入れて二人で母親探しの旅に出る。これも雪の中。猫車に若蘭を載せて歩く。これで千キロ(長白山から武定鎮まで)以上の旅は無理だ。荘園の主なら、いつものように馬にしてくれ。

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  雪山飛狐版 子連れ狼

 話は変わって、胡斐と平阿四の逃避行は続く。すでに十五年経つことになる。長白山近くの街で料理を頼む。平阿四が席を外したとき、成り行きで、胡斐は5斤(ビールの中瓶が約1斤)の酒を飲んでしまう。更に飲み比べをする。十二三歳にしか見えない少年がそんなに飲んで大丈夫か(^_^)。
 胡一刀の墓は長白山のはず。雪景色である。命日は12月6日(小説では3月15日)。胡斐たちが父と母の墓参りを済ませると、続いて苗人鳳も墓参りに来た。田帰農の家は北京かその近く。そこを目指して歩き、途中に長白山があっては、苗荘は長白山の北ということになる。関内にあるはずだ。それなら長白山によったのが解せない。

 大阪から京都に行こうとして、途中で東京に立ち寄るような話。武侠物にはよくある話だが、金庸小説では記憶にない。
   …………………………

第七集
 鉄花会(小説では紅花会)なる団体がある。登場人物は紅花会と同じ。どうやらこのドラマの作者が変えてしまったらしい。
 苗人鳳が墓参りしている。そこに鉄花会の人が五人登場する。田帰農の策は、苗人鳳と鉄花会を戦わせることだった。しかし鉄花会では田帰農の策を見破っていた。

 ようやく外伝の物語の発端である商家堡の話になる。
 商家堡はどこにあるのか。強盗団の閻基(えんき)は飛馬鏢局(頭は馬行空)を斉南からつけていたというので、武定鎮で辻褄が合う。苗人鳳は長白山から歩いて、田帰農は馬車で来て、同時にここに着いた。
 故人である商剣鳴は強盗で商家を維持していたのだった。あるとき行き詰まり、友人である馬行空の荷を襲った。そのとき強盗は成功したが、商剣鳴と馬行空は大怪我をしている。そこまでは辻褄が合うのだが、馬行空が承知で雨宿り(雪宿り?)したのが腑に落ちない(小説では、友人ではなく商剣鳴の家と知らずに入った)。それで馬行空を仇呼ばわりは逆恨みだ。
 苗人鳳と田帰農はにらみ合う。そして、田帰農は刀を差しだし、「殺してくれ」と必死の演技。一生一代の大ばくちか。もっとも苗人鳳がそのような形で殺すことは考えられない。蘭も止めに入る。
 ここで「鳳陽の苗家荘」という言葉が出てくる。鳳陽はどこだろう。安徽省に鳳陽県があるが、辻褄が合いそうもない。創作の地名か。
 苗人鳳と若蘭が出て行ってしまうと、田帰農はさっそく強盗に早変わり。飛馬鏢局(馬行空)の荷物30万両を閻基と山分けしようとする。商家と飛馬鏢局と胡斐が協力して防ぐ。
 田帰農はいまでは天龍門北宗の掌門だ。山中に隠れているわけではない。もともと「元手いらずの商売」の出身ではあるが、そんなに堂々とやっていいのか。
 ここでの少年胡斐はなかなかの演技。
 さて商夫人は商剣鳴は胡家刀法で殺されたというが、このドラマでは胡一刀が苗家剣法で殺したはず。
   …………………………

第八集
 飛馬鏢局の馬行空は胡斐から商家の悪巧みを知らされ、奇計を立てて逃げ出そうとする。しかし、配下の徐錚(じょそう)が力もないのに戦いを挑み、つまり逃げ出す計画を敵にばらしてしまう結果になり、逃走計画をぶち壊してしまう。
 商家堡での戦いで、商宝震も死んでしまう。小説では商宝震の死は四年後だが、それでもろくな死に方ではない。
 趙半山が女の子をつれて、修羅場に乗り込むのが腑に落ちない。
 馬行空の娘馬春花は少女らしくない。父は殺され、そのまま福康安に一目惚れして情婦になることに。「父も兄もいない」と言いなから、福康安の腕の中でにっこり。が、父は商夫人に殺されても、徐錚(兄弟子)はまだいる。兄弟子はアテにならないということか。小説では徐錚と夫婦になるが、どうでもいい男だ。
 馬春花にとっては、父の死と交換ながら、乗ることのできた玉の輿なのだろう。
 胡斐は趙半山と義兄弟となり、平阿四と別れて西域に行くことになる。

 このDVDには中国語字幕がないのが残念。時々なんて言っているのか気になるが、原文が無いのだ。
胡夫人が「あなた」と呼ぶときは、声は「大哥」と言っている。つまりお兄さんだ。
南蘭が苗人鳳を「あなた」と呼ぶときは「丈夫」かなあ。確認しようと思って原文(中国語字幕)が無いことに気が付いた。
 趙半山が登場したときは、「趙半山と申す」とあるが声は「我姓趙」。趙だけで相手には鉄花会の趙半山と判るのだ。
 「陛下」は「皇上」。
 こうして時々、中国語では何て言っているのか気になることがある。
posted by たくせん(謫仙) at 06:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 雪山飛狐・飛狐外伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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