戦いは五日間に及んだが、その途中で胡一刀に子が生まれる。胡一刀は無筆なため、苗人鳳に名を付けてもらう。字が読めなくてどうして胡家の武芸を習得したのだ。なんのため武芸書を持っているのだ(武芸書は漢字で書かれている)。
胡夫人は李自成の死から90年たったと言っている。李自成の死はいつだろう。1673年の三藩の乱のときは生きていた(他の小説の話で史実ではない)。
胡一刀の回想の中に「呉三桂が裏切り…」とあるが、史実は違う。呉三桂は明の臣であり、清と対峙していたのを、後ろから攻撃したのが胡一刀の先祖たちの李自成の軍である。強いていえば、裏切ったのは李自成軍つまり胡一刀の先祖たちである。
胡一刀の回想で李自成は死ななかったことが判る。鹿鼎記に続くわけだ。
胡一刀と苗人鳳の殺陣は、少しイライラする。二人とも持っている刀剣の威力を使っていない。手を伸ばせば相手に届く接近戦。剣道なら鍔ぜりあいの距離だ。刀剣で攻撃するとき、手が相手の頭に届く距離では、武器は邪魔なだけではないか。まして苗人鳳の「剣」は突くのが中心。手を伸ばしたとき剣先が届く距離がいい。
雪はしんしんと降っているが、日は照っていて空は青空。これは撮影の都合ということで。
戦いは田帰農が投げた刀が苗人鳳の背を刺して終わる。傷が治ると(一晩で治ってしまう)戦いを再開するがそれは次回。
胡夫人は「書剣恩仇録」の駱冰を思わせる。名は出てこない。
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第三集
傷が治るとまた戦いが始まった。
夕食の時の苗人鳳の台詞、
「俺は根無し草だから結婚などとても」
この時は小説のイメージ通りと思っていた。しかし、後で出てくるが根無し草ではなく、田舎ながら荘園の主。
苗人鳳は商家堡の商剣鳴に家族を殺され、仇討ちをしたいのであった。時間が無くて長白山の戦いが先になったという。それを聞いた胡一刀は夜の間に商家堡まで行って、商剣鳴の首を獲ってくる。馬を何頭も乗り潰したと言うが、長白山から商家堡まで往復二千キロ、一晩で走るには新幹線なみの速度がいる。小説は唐官屯からなので問題ない。
それにしてもだ。七日も前から戦うつもりでいた、関内から来た苗人鳳なら、来る途中だろうに。時間がないといっても一晩くらいあっただろうに。
苗人鳳の剣法に「白鶴亮翅(はっかくりょうし)」という(小説では白鶴舒翅)技がある。中国武術を習っている人が、あれは白鶴亮翅ではないと言っていた(^_^)。金庸ファンはドラマにはうるさいのだ。
小説の白鶴舒翅は金庸創作か。
田帰農の命で、獣医(小説では普通の医者)の閻基がふたりの剣に毒を塗る。平阿四はそれを見ていたのだが、意味が判らない。そして胡一刀は軽傷ながら絶命してしまう。
胡夫人も狙われ胡斐を平阿四に託し、戦って死ぬことに。田帰農の目的は胡家の武芸書。しかし、本当の目的はフビライの宝。
この戦いの場所は、雪の深い断崖絶壁のある山だが、宿のあるあたりは平坦で、雪もわずか。一部では地面が露出している。見渡す限り低い里山程度の山しかない。それが戦いになると、いきなり雪深い切り立った断崖絶壁に変身。
武芸書は赤児の胡斐とともに平阿四が持って逃げるが、途中で最初の二枚を閻基に奪われてしまう。平阿四は片手を失いながらも胡斐を抱いて逃げる。
苗人鳳は半年も胡斐たちを探し続けるが、見つけられない。胡斐の育ての親になる平阿四は苗人鳳も悪人と思い、見つからないように隠れていたのだ。
七ヶ月後、苗人鳳を見送る平阿四は腕の傷は治ったようだが、生まれたばかりの胡斐もいるのに、どこでどうしていたのか。12月から七ヶ月後は七月初めだが、あたりは雪深い冬景色。葉を落とした落葉松(?)林。いつ葉をつけるのだろう。
零下二十度とか三十度とかの酷寒の地で撮影したという。俳優は大変だったと思うが、半分割り引いて考えている。神G侠侶や碧血剣でもそうだが、夏のシーンでも吐く息が白いことがある。
なにも真夏のシーンを零下二十度の雪の中で行うことはない。暖かくなってからやればよいこと。それで寒くて大変だったと言われても…。
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第四集
平阿四は実家に帰って、お米を探す。この時代長白山の近くで貧しい庶民が、米を食べたのか。米は江南からの輸入品、貴重であろう。ここは北国、小麦の地域ではないかと思う。しかも、そこは寺だった。平阿四の実家は寺か。親は寺男だったのかな。
そして三年後か、皇帝は田帰農に、李自成の財宝のありかを示す四通の遺書を早く見つけろときつく指令。そして田帰農を天龍門の掌門にする。
さらに七年後。苗人鳳は「胡一刀が死んで十年」といっている。苗人鳳は南家の一行とすれ違い、ならず者の一行ともすれ違う。それなのに入った宿は同じところ。引き返したのかな。
南蘭の父はならず者に殺されてしまう。苗人鳳は少女南蘭を助ける。そして南蘭を娶ることになるが、恋の道はまるで無学文盲状態。南蘭も行く宛がなく、苗人鳳を頼ったので、恋しているわけではない。そして花嫁に先祖伝来の簪を贈る。この簪は宝を探す重要な意味を持っているはず。
田帰農は皇帝に対して、七年間雪山で苗人鳳を捜したが見つからないと言い訳している。知っていて隠しているのだ。乾隆帝が見破れないのはありえない。その部下は知っているはずだからだ。