2008年08月04日

倚天屠龍記の世界

 本は書庫−倚天屠龍記で紹介した。
 物語の始まりは、時代は元の末期、順帝(在位1333−1368)の至元二年(1336)、南宋が滅びて五十余年後。神G侠侶の最後の年(1259)から77年後である。

 その前に神G侠侶から三年後、冒頭で郭襄が江湖をさすらい楊過の行方を尋ねて少林寺に行く。少年張三豊や覚遠と再会する。そして三人は少林寺を出る。そして一気に年月を飛ばし、太極拳の始祖張三豊の九十歳の誕生日を巡る話になる。張三豊は伝説上の人物で、実在は疑わしい。太極拳はかなり後にできたので、始祖説はもちろん怪しい。
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 その後に生まれた張無忌が、大勢の人に助けられ、自らも少年ながら医術を身につけ、人を助けたりしながら、武術も習得する。そして二十歳を過ぎた頃から江湖に出て、明教を統合することになる。そして武林の盟主となり、モンゴルの攻撃から少林寺を守る。ついにモンゴルを放逐することになる。
 張三豊は百十二歳を過ぎてしまう。何歳まで生きていたのかな。最期は駆け足で、明朝成立(1368)までを説明するが、それは物語のその後であろう。おおよそ三十二年間の物語。
   …………………………

     登場人物
☆物語の始まる前
 郭襄  :郭靖と黄蓉の娘。楊過に恋をして、会うために江湖をさすらう。少林寺で張君宝と会うが、別れて以来再会せず、四十歳にして出家し、峨嵋派を開く。
 無色禅師 :少林寺羅漢堂の首座、楊過の友人。
 覚遠  :少林寺蔵経閣の僧「九陰真経」を読んで、たぐいまれな内攻を会得したが、その意味を本人も知らず、回りの僧もそのことを知らない。
 張君宝 :覚遠の弟子だが出家前の少年。後に武当派の開祖で太極拳の創始者となる張三豊。
 何足道 :崑崙三聖といわれる、崑崙派の達人。三十歳くらい。
   …………………………

 77年後以後
☆武当派
 張無忌 :張翠山と殷素素の息子、主人公。
 張三豊 :武当派の開祖。若い時は張君宝といった。
 宋遠橋 :張三豊の一番弟子。以下の七人は、張三豊の直弟子で、武当七侠といわれる。
 兪蓮舟 :張三豊の二番弟子。(ゆれんしゅう)
 兪岱巌 :張三豊の三番弟子。(ゆたいがん)福建からの帰途、重傷を負い、再起不能となる。
 張松渓 :張三豊の四番弟子。
 張翠山 :張三豊の五番弟子。張三豊の後継者と期待される。兪岱巌に重傷を負わせた犯人を捜して江南に行き、屠龍刀を巡る争いに巻き込まれる。張無忌の父親。
 殷利亭 :張三豊の六番弟子。本来の名前は殷利烹だか、名前がそろわないので、金庸は亭にした。宋青書に殺される。
 莫声谷 :張三豊の七番弟子。
 宋青書 :宋遠橋の息子。武当山を裏切る。

☆天鷹教 明教の一派で、三堂五壇をもつ。
 殷素素 :(いんそそ)天鷹教の教主殷天正の娘で堂主。張翠山に嫁ぐ。張無忌の母親。
 殷天正 :天鷹教の教主。明教の四大護教法王のひとり。白眉鷹王といわれる。
 殷野王 :殷天正の息子、素素の兄。堂主。
 李天桓 :天市堂堂主。
 常金鵬 :朱雀壇主。王盤山島で謝遜に殺される。
 白亀寿 :玄武壇主。王盤山島では気絶していたため生き残る。
 封壇主 :神蛇壇主。
 程壇主 :青龍壇主。

☆明教
 謝遜  :(しゃそん)明教の四大護教法王のひとり。金毛獅王といわれる凄腕の巨漢。文武に優れているが家族を惨殺されて、復讐の鬼となる。張無忌の義父となる。
 常遇春 :明朝の功労者。張無忌を胡青牛のもとへ送り届ける。
 楊逍  :明教の幹部、光明左使。楊不悔の父親。
 范遙  :明教の光明右使。成崑を倒すため長年苦心している。苦行者(苦が名前)として趙敏の下にいる。
 胡青牛 :医術は凄腕だが偏屈なふりをする医者。蝶谷医仙といわれる。張無忌に医術を教える。
 王難姑 :胡青牛の妻。毒に詳しく、毒仙といわれる。
 金花婆婆 :ティギス、霊蛇島主銀葉先生の夫人。明教の四大護教法王のひとり。紫衫(しさん)龍王といわれる。ペルシャでは明教三聖女の筆頭で次の教主の有力候補。
 殷離  :阿離・蛛児ということもある。金花婆婆の侍女。殷野王の娘なので張無忌の従妹にあたる。張無忌が崑崙の崖から落ちて両足を骨折したとき、蛛児として助ける。
 韋一笑 :明教の四大護教法王のひとり。青翼蝠王といわれる。
 説不得・周顛・鉄冠道人・冷謙・彭瑩玉 :明教五散人
 小昭  :楊不悔の小間使い。白人の血が混じる美女。ティギスの娘だった。
 楊不悔 :紀暁芙の娘。幼くして母を亡くし、張無忌によって父の楊逍の下に送られる。
 朱元璋 :反乱軍の将、張無忌たちの功を簒奪し、明朝の皇帝となる。
 韓山童 :反乱軍のリーダー。
 韓林児 :韓山童の息子。

☆各派
 徳成  :長白三禽と呼ばれる三老人のひとり。
 都大錦 :臨安府龍門鏢頭。動けない兪岱巌を武当山まで運ぶ。
 元広波 :海沙派の総舵手。王盤山島で謝遜に殺される。
 麥鯨  :(ばくげい)海賊である巨鯨幇の幇主。王盤山島で謝遜に殺される。
 麥若幇主:麥鯨の息子。王盤山島で謝遜に殺される。
 過三拳 :神拳門の掌門。王盤山島で謝遜に殺される。
 鮮于通 :華山派の掌門、神機子の異名をもつ。
 成崑  :混元霹靂手のあだ名を持つ、謝遜の師父。謝遜が仇と狙っているため、少林寺の僧円真となって身を隠している。諸悪の根源ともいえる、重要人物。

☆峨嵋派  開祖は郭襄
 滅絶師太 :三代目掌門、出家らしからぬ行動がある。郭襄は弟子(孫弟子)に恵まれなかったか。倚天剣の持ち主。
 周芷若 :船頭の娘。一時武当山に引き取られるが、峨嵋派に入門する。四代目になる。
 紀暁芙 :高弟。殷利亭の婚約者だった。娘の父が楊逍だったため、滅絶師太に殺されることになる。楊不悔の母。
 静玄師太:一番弟子。
 丁敏君・貝錦儀 :門弟

☆崑崙派
 何太沖 :(鉄琴先生)崑崙派の掌門。
 班淑嫻 :何太沖の夫人で姉弟子。
 高則成・蒋濤 :弟子、王盤山島で謝遜に殺されそうになる。
 西華子・衛四娘 :弟子

☆雲南一灯大師の一門の子孫
 朱長齢 :朱子柳(射G英雄伝・神G侠侶)の子孫。崑崙山中に住む。
 朱九真 :朱長齢の娘。猛獣使い。
 武烈  :武三通(射G英雄伝・神G侠侶)の子孫。崑崙山中に住む。
 武青嬰 :武烈の娘。
 衛璧  :武烈の弟子。

☆少林寺
 空見大師 :物語の始まる前に謝遜に自殺に近い形で殺されている。少林寺四大神僧。
 空聞大師 :方丈、少林寺四大神僧
 空智大師・空性大師:少林寺四大神僧。
 渡厄・渡劫・渡難 :四大神僧の上の世代。神僧以上の力がある。

☆モンゴル
 趙敏  :モンゴルの群主(姫)、美貌の少女。張無忌についていくことになる。黄蓉(射G英雄伝)を思わせるほど文武に長けている。間接的に張無忌の参謀役にもなる。
 汝陽王 :趙敏の父親、モンゴルの実力者。
 王保保 :趙敏の兄。
 鹿杖客 :趙敏の部下。玄冥神掌を使う。
 鶴筆翁 :趙敏の部下。鹿杖客の弟弟子。玄冥神掌を使う。

☆丐幇
 史火龍 :丐幇幇主。陳友諒たちに殺される。
 伝法長老・執法長老・鉢のお頭・棒のお頭 :丐幇の長老。
 陳友諒 :丐幇の長老、若いが切れ者。史火龍を殺し偽者を立てる。
 史紅石 :史火龍の娘。こどもたが、父の死後、丐幇の幇主になる。

 ☆古墓派
 楊   :黄衫の女、終南山に住み武林を見守る。四人の簫を持つ少女と四人の琴を持つ少女を連れている。
posted by たくせん(謫仙) at 07:47| Comment(2) | TrackBack(0) | 倚天屠龍記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
たくせんさんは中国語がわかりますか?剣橋(ケンブリッジ)倚天屠龍史という本を発見しました。面白いです。
オンラインで読めます:
http://www.tianya.cn/publicforum/content/no17/1/28245.shtml
Posted by yx_wh at 2012年08月08日 02:17
yx_wh さん
元は本ですか。なんかわたしの記事に似ているような記事ですね。
えっと、中国語は簡単な文なら理解できますが、会話は無理というレベルです。
「剣橋」日本でも戦前は使っていましたが、今は使うことはありませんね。って関係ない話でした。
今は忙しいので、詳しくは読めませんが、時間をみて読んでみたいと思います。
ここまで詳しく、年代をおっているのにびっくりしました。
金庸さんの場合、改訂版もありますが、わたしの持っている本は、岡崎さんのチームが訳したもので、改訂前のものです。

張三豊とは、架空とは言えない人物。太極拳の基になる武術の創始者という、謎の人物。
今月この武当山に行って来ます(^。^))。
Posted by 謫仙 at 2012年08月09日 20:14
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