洪煕官は主人公の名である。南派少林拳の洪家拳の祖。
洪煕官(李連傑)
洪文定(謝苗)洪煕官の息子
紅豆(邱淑貞)後に洪煕官の妻となる
冒頭、清朝によって、洪煕官の家が襲われ、赤ん坊ともいえる児を残して皆殺しにされる。そこへ駆けつけた洪煕官が児を殺すか連れて逃げるかの賭けをする。赤ん坊におもちゃの馬か剣かを選ばせる。そして箱車に乗せ…と、まるで子連れ狼。
そして、児が大きくなり、と言っても十歳くらいだろうか、親子で活躍する話だ。
清朝が、少林寺を襲い壊滅させる。少林寺では事前にそれを察知し、五人の子どもの背中に明朝の宝の地図の入れ墨をして逃がす。清朝の襲撃はこの宝が目的だ。この五人を洪煕官が保護して馬家荘に連れて行く。天地会の陳近南に託すため。
李連傑は中国全国武術大会(演武の大会)において、5回連続で総合優勝したように、槍術も拳法も本物であり、形だけの演技ではない。
洪文定は父親に仕込まれ、子連れ狼風に言うと死生眼の持ち主。父親並みに強い。武芸ばかりでなく生き方もだ。父に再婚を勧めたりする。
紅豆役の邱淑貞には見覚えがある。「魔教教主」の小昭(シウチウ)だ。
コミック映画のように、各所に笑わせようとしているところがある。それがあまりに見え見えでおかしくもなんともない。
アクションシーンは本物だが、しかし、わたしはアクションには惹かれることは少ないので、あまり面白いとは感じない。このあたり、わたしが金庸小説が好きなのに、他の武侠小説はそれほどではない理由かも知れない。
わたしが引き込まれたのは児の洪文定の生き方だ。
この中で、悪役の勢力は当然清朝だが、それに味方する馬寧兒は怪人物、しかもジュラルミンのレーシングカーみたいな乗り物で登場。おいおい。
さて、余談。
五人の子どもを馬家荘に届けるが、その名が、胡徳帝・馬超興・蔡徳忠・李式開・方大洪。
雍正帝の時代に嵩山の少林寺が襲われ壊滅し、逃れた五人(少林五祖、胡徳帝・馬超興・蔡徳忠・李式開・方大洪)が天地会を作り、別な二人が福建少林寺を建立し、南派少林拳の中心地となる。この福建少林寺は名は有名だが実在は確認されていない。それはともかく福建少林寺を興した雲宗大師・至空和尚の弟子が少林五老といわれる5人。少林五老の育てた弟子が「少林十虎」といわれ、洪煕官もそのひとり。
そして乾隆帝32年に福建少林寺は清に焼き討ちされ滅ぶ。
「洪煕官」はこの流れから見ると、福建少林寺の焼き討ちに材を取ったはず。
史実では嵩山少林寺は焼き討ちされたことはない。福建少林寺は存在しなく、当然焼き討ちされるはずはなく、ここに登場する五祖や五老や十虎は架空の人物である。
洪煕官は南派少林拳の洪家拳の祖というが、天地会は別名洪門といわれ、ここの拳法が洪拳といわれるようになった。そして洪家拳の祖洪煕官という架空の人物が作られた。
当時少林寺は、雍正帝や乾隆帝によって手厚く保護されていた。だから反清の中心になるというようなことはなかった。
どこかに、張三豊を太極拳の祖と書いたが、これもほとんど洪煕官と同じで、伝説の人物。実在も怪しい。太極拳の成立ももっと後になる。ついでにいうと、少林拳の祖は達磨大師といわれるが、これもほぼ架空の人物。つまり新しい流派が成立したとき、古い伝説上の偉人を祖に祭り上げるのだ。
少林拳の流れは切れてしまう。南派少林拳に伝わったとされるが、これは仮託。李連傑は少林寺の映画を作るとき、自ら研究して、少林拳を復活させたという。
ここに出てくる明朝の宝の話。今ちょうど碧血剣が放送されているが、そこでは、財政が逼迫し、官吏の給料さえ何年も払えない状況で、宝どころではない。
私が以前、李連杰ファンだった時(笑)ファンの中では、笑わないニヒルな李連杰が好きと言う人が多かったような気がします。私はちょっと苦手な作品でした。 この作品で、悪役を演じている俳優さんこの頃から、随分とあくの強い悪役を演じていらっしゃるのですね。最近では「連城訣」の血刀老祖の役を、あの独特な笑みを浮かべながら演じていました。
その彼も、確か武術の本物の達人だったと記憶しています。
この頃の作品(特に李連杰が出る)には、本物の武道家が多く出演していたように思います。
>「連城訣」の血刀老祖で、
ああ、あの「悪貫満盈」(^_^)、 天龍八部ですが。
気が付きませんでした。いわれてみると、その面影がありますね。
この映画はアクションシーンに凄みがあります。今夢中になっている張紀中シリーズは、芝居のようなあるいはダンスのような演技で迫力があまりないのと対照的。
もっとも見る人が承知で満足できればかまわない(かな)。
「杰」の字が出ますね。ここはシフトJISなのに。知りませんでした。でも迷うな。「連」も簡体字が出るなら使いたいが、現状では迷っても「傑」にするかな。