2022年01月26日

錦綉南歌

錦綉南歌
日本名  驪妃(りひ)

 時代は南朝宋(劉宋)の時代の武侠ドラマ。
 犯罪組織・朱雀盟の刺客として育った驪歌(りか)は彭城(ほうじょう)王・劉義康(りゅうぎこう)を親の仇と信じ、長年彼の暗殺を企てていた。ところが襲撃するも失敗し、そのとき妹分の阿奴(あど)は死に、死に際に腕輪を託される(実は生き延びていた)。
 その腕輪から沈家の娘と誤解され、18年前に行方不明になった、沈嘉寧として沈家に迎え入れられる。そして、身分を隠した彭城王と出会う。お互いの正体を知らない2人は、次第に心を惹かれ合っていく。
「親の仇」説は嘘の予感がするし、全体的に「それならもうちょっと……して」と思うシーンがある。武侠にはよくあることだ。

「王女未央-BIOU-」のスタッフが再集結したという。言われてみると、なんか「王女未央-BIOU-」のプロットに似ている。

 このドラマの登場人物の彭城王・劉義康は宋の初代武帝の第4子であり、3代目文帝劉義隆(劉義康の兄)の時代が舞台と思われる。なにしろ皇帝が出てこないので、史実とは異なる設定かもしれない。
 南朝の宋は、420〜479年と短い。この間に8人の皇帝がいる。史実では皇族の争いで大勢の皇族が亡くなり力を弱めた。
 初代の武帝劉裕がわずか2年で死去、一代の英傑だが、国体を整える前に死んで後世に託す。2代目劉義符も2年。3代目の文帝劉義隆(29年)になって、やっと国家の形を整えた。2代目と3代目は武帝の子である。
 この宋は文盲の初代が武力で得た国だが、形は禅譲である。その影響か、ドラマの宮殿などはかなり豪華である。臣下も含め、かなり前朝(東晋)から引き継いだらしい。横暴な権臣もいて、何かにつけて皇帝家の邪魔をする。

 紹介してないが、小前亮の小説「劉裕」を読んだばかり、ちょうどよいタイミングで見始めた。登場人物の姓など、記憶にある人が多い。
 5回目まで見た。展開が速い。おもしろそうな予感。前のドラマを紹介してから何作かドラマを見たが、紹介したくなったのは久し振り。
 わたしはチャンネル銀河で見ているが、他で見た人は多いだろう。

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追記
 途中で四男の彭城王・劉義康が「兄ふたりを亡くし」と言う。してみると残る一人の兄は三男で現皇帝の文帝であることになる。

 第十五回まで見た。
 陸遠という権力者がいる。簡単に(でもないか)権力を失ってしまう。
 わたしは、陸遠はいつでも皇帝になれるが、臣下として権力を握っている方がいろいろとやりやすいので、臣下のふりをしていると思っていた。朝議の時は臣下の位置にいるが、朝議が終わると、陰で皇帝を顎で使っているのかと。ところがそうでもなかった。
 もちろん、返り咲きを画策しているが、どうなることか。

 終わった。久し振りに最後まで見た。
 陸遠を始末し、次なる高官の害を取り除いたが、その奥に朱雀盟を組織した者がいた。この者は探り出すのが難しいが、探し当てたところで解決。
 しかし、歴史上の皇族同士で相剋するという運命までは変えていなかった。驪歌も皇族になればその運命に従わねばならない。
 終わったが、彭城王も歴史に飲み込まれる。宋という国は、成熟することなく、歴史から忘れられていく。
posted by たくせん(謫仙) at 16:19| Comment(0) | 武侠世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする