2021年06月07日

楚喬伝

楚喬伝(そきょうでん)〜いばらに咲く花〜
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 これはおもしろかったが、しかし、もう一度見ようという気にはならない。それで消去した。
 原因は何だろうかと考えた。ストーリーが無理気味。武侠に偏るのは構わないが、どこか矛盾を感じさせる。
 訓練場所も、まるで20世紀を思わせるような、からくり仕掛け。
 南北朝時代の北朝、西魏(せいぎ)の時代。この時代にこんなからくりができるのか。
 たとえば、鎌倉時代に鉄砲が出てきても驚かないが、鉄砲鍛冶や弾丸の火薬を作る人も登場しなければならない。
 もちろんSFなので、そう設定するのは問題ないが、その説明が欲しいし、そんな能力者にしては、この結末はむなしすぎないか。
 見終わって虚脱感が漂った。中国では大人気だったという。
 わたし的には趙麗穎(Zhào Lì yǐng)の魅力だけで、最後まで見たドラマだった。趙麗穎は明蘭でも主役を演じた。明蘭はお勧めなので前回紹介している。

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次の2作は大人気だというが、金をかけたというが、わたしは魅力を感じなかった。それで途中まで。

長安二十四時
「長安二十四時」、不思議な題名である。原題は「長安十二時辰」だった。これなら納得出来る。
 数回見て、終わりにした。花がない話だ。

鬼谷子−聖なる謀−
 鬼谷子は伝説の策師。蘇秦(そしん)と張儀(ちょうぎ)の師と言われている。また信憑性は薄いが、孫臏(そんぴん)と龐涓(ほうけん)の師という説もある。
 期待したが、最後まで見ないで放棄した。

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海上牧雲記 〜3つの予言と王朝の謎
 これはおもしろかったが中途半端。
 よくできているが、名前負けしている。人物紹介で、ひとりは未来の皇帝、ひとりは未来の帝王、ひとりは九州を統一とするが、
 一人が皇帝になっただけ。起承転結の起承で終わったようで中途半端。
 あえて言えば、海上牧雲記の地上編。これから海上編になって、残りのふたりが紹介どおりになれば完結といえる。

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2021.7.3追記
ほとんど不要の駄文

 かなり前の話だが、わたしは小説を書いたことがある。勿論習作であり、応募するようなものではない。
 ある人に見てもらった。
「これは小説ではない。意見である」
 厳しい意見であった。しかし意見のない小説なんてあるのか。
 その人の書いた小説を読む機会があった。いい文章ではないか。しかし、プロットが判らない。わたしから見れば、それは文章の練習、つまり作文であった。これだけの優れた文を書けるなら、もう文章の練習はいいから小説を書いたら…、と思ったが、その人はそれを小説と思っているのだった。わたしの力不足なんだろうな。
 ここ何作か、中国の時代SFドラマを見ているのだが、何か気が乗らないのだ。
 一つ一つの場面、つまり街や家の様子などの舞台、道具類、俳優の演技力、アクションなど、びっくりするほどうまい。だが主人公は何のためにそんな行動をするのか、それが判らなくては、肩入れしようがない。
 主人公の成長物語か、昔の街の紹介か、武術の公開か、宮廷生活の紹介か、騙し合いか。
 そこで上の話を思い出したのだった。
 何作か途中で挫折した。紹介していない話もある。
 清朝の宮廷ものは、それがはっきりしているので、おもしろかったのだ。


posted by たくせん(謫仙) at 05:50| Comment(0) | 武侠世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月05日

明蘭

明蘭〜才媛の春〜
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 内容は、
 盛家の娘・明蘭は母親の身分が低かったことから、父親から愛情を得られず、盛家の正妻や姉妹たちにも虐げられて育った。
 亡き母の教えを守り、自分の才気を隠して耐え忍び成長した明蘭は、やがて子供の頃に知り合った寧遠候府の御曹司・顧廷Yに見初められて顧家の女主人になり、夫を支え優れた才知を発揮していく。

 宋の仁宗(じんそう)から英宗の時代の物語。
 原題は 知否?知否?應是緑肥紅痩 というのだが、そういう小説があるという。上の説明はその小説の説明らしく、ドラマでは「亡き母の教え」ははっきりしない。

 さて、わたしが原題を一目みて驚いたのは、應是緑肥紅痩は李清照の詞「如夢令」であることだ。だが、内容は李清照の話ではなかった。
参考 李清照

    如夢令   李清照
  昨夜雨疎風驟  昨夜、雨は疎にして風驟く
  濃睡不消残酒  濃い睡りにも残酒は消えず
  試問捲簾人   簾を捲く人に問うてみれば
  却道海棠依舊  却って海棠は舊(きゅう)に依ると道(い)う
  知否      知るや否や
  知否      知るや否や
  應是緑肥紅痩  應に是れ緑肥え紅痩せるべし

 エンデングの歌では、次のように訳している。

  深く睡れど残り酒は消えず
  海棠は咲いたままと言うけれど
  知るや知らずや
  花は散り、残るは茂る葉だけ


 昨晩の雨風で、詞人は庭の海棠の花を心配しているのに、下女は昨日と同じですよと答える。そんなはずはないのに。
 ここは、「花は散り、残るは茂る葉だけ」ではなく、「花は少なくなり、葉がめだつ」と言う意味だろう。

 このドラマは好評のようだ。最近は大勢の美人女優による後宮ものばかり見ていて、いささか飽きてきたが、これもその流れかな。
 周迅が主役の如懿伝でも、李清照の「酔花陰」が出てきた。こう見ると、李清照は現在でも知られた詞人らしい。この主人公は如夢令を思わせるような人生を歩むのだろうか。
 中国では一般に女性を教育することは少ない。その中で李清照は子供のときから文藝に親しんだ。両親もそのように教育した。

 この物語の盛家では娘たちにも教育を施している。他家の男子たちと一緒だ。その結果、明蘭は少女ながら盛一家の管理を任されることになる。
 明蘭は様々な技能を習得しているが、それを知っているのは祖母だけ。なぜ明蘭が盛一家の管理を任されることになったのか、祖母だけが知っている。一時、娘たちの教育係になった女性も明蘭の資質を見抜いていた。

後半は顧家に嫁いだ後の話。本題に入って(?)、おもしろくなってきた。
わたしは別なところに興味を持って見ている。
 宋代は官の給料がもっとも高かった時代。それが元で、国家の財政基盤が危うくなっている。
 夫の顧廷Yは、武官として現皇帝(英宗)を担いだ人物なので、重臣となった。それで広大な庭園付きの邸宅を賜る。周りの官もそれなりに富んでいる。
 夫の本家からは、様々な形で横槍が入る。夫の若いときの財産はほとんど本家や親戚に奪われてしまっていた。しかし、地方には夫の資産が取られず残っていた。
 これらの家産の管理にも盛明蘭は異彩を放つ。
 最後が納得出来るのも良い。

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 概略だが、次のような時代である。
1022 仁宗(在位1022−1063)即位。
1044 西夏への歳費 絹13万匹・銀5万両・茶2万斤となる。平和も購ったことになるが、遼と西夏への歳費は財政を圧迫した。役人の多いことに加え、租税負担層が薄くなり、税収が減ったことも原因で、亡国の道を歩み始める。
1060 王安石「万言書」を奉る
1063 英宗(在位1063−1067)即位。
1067 神宗(在位1067−1085)即位。
1069 王安石、参知政事となる。

 最後まで見たが、王安石は出てこない(名前が出たかな)。員外も出てこない。
 この頃を扱った小説では員外という言葉が多く出てくる。金持ちの意味である。
 金持ちは官位を買った。しかし仕事はなく無給である。定員外の官なので員外という。
 なぜ官位を買うのかと言えば、官になると税を免除されるからである。これにより国家の収入は少なくなっている。これも国力を弱める原因であった。
posted by たくせん(謫仙) at 09:51| Comment(0) | 武侠世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月04日

玄鉄令

2009.4.1 記
2021.6.4一部訂正

 侠客行には玄鉄令という、持つ者の願いを叶えてくれるという不思議な物がある。

 玄鉄令は表に「玄鉄の令、求め有れば必ず応ず」裏に「摩天崖、謝煙客」と書かれている。謝煙客が恩義を受けた友人に三枚与え、「手ずから渡した者には、いかに困難な頼みにも、きっと応じよう」と約束したのだった。
        
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 初めにベン梁(開封)の近くの侯監集で「玄鉄令」の争奪戦がある。
 持っていた呉道通は玄鉄令の主を捜し出せず殺される。呉道通の目的は不明。
 金刀塞の大塞主安奉日が一団で呉道通を殺して玄鉄令を探すが見つからない。これも目的は不明。
 石清・閔柔夫婦も遅れて現場に到着し、金刀塞を追うが、玄鉄令が見つからなかったことを知り、再度現場に行く。玄鉄令を手にしようとするのは、(第三巻P175)殺されたと思われる次男石中堅を掠った者を捜してもらうため。自分たちで十余年探したが見つからなかったからだ。
 主人公の狗雑種(のらいぬ)は落ちていた焼餅を食べようとしたが、その中に玄鉄令が入っていた。ただし玄鉄令の意味を知らない。
 雪山派が来ていて、戻ってきた石清・閔柔夫婦と金刀塞共に玄鉄令を見つけ三者の争いになる。
 玄鉄令三枚のうち二枚はすでに済み、最後の一枚がこれだったのだ。
 そこへ謝煙客が登場した。
「……無恥の輩の手に落ちて、死んでみろの何なのと吹きかけられれば、誓言を守るため命まで断つ羽目になるやも知れぬ。ありがたや、さいわい難なく取り戻せたわい」
 だが狗雑種の願いを聞かなければならない羽目になる。しかし、狗雑種は願いを言わないため、摩天崖に連れて行く。
 摩天崖では、狗雑種は、「いなくなった母を捜しに出て、犬も戻ってこないので、探している」と言う。
 謝煙客は、(母親を捜せの犬を探せのと言われたら厄介だ。…そんな難題を吹っかけられるくらいなら…)。…は略した。
 こう読んでみると謝煙客は、武林の問題なら史上屈指の有能者だが、民間の問題なら人並みではないかと思える。おそらく、最初に三枚の玄鉄令を出したときは、民間の問題は考えていなかったのではないか。

 玄鉄令については、これ以上の言及は見つからない。
 
  参考 書庫−侠客行
posted by たくせん(謫仙) at 07:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 侠客行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

賞善罰悪使

2009.4.4 記
2021.6.4 一部訂正追加

 侠客行で、玄鉄令とならぶもうひとつの謎が賞善罰悪使の能力。
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 十年ごとに来る侠客島よりの招待。間もなく四回目の招待が近い。招待されるのは武林各派の総帥。招待の使者は、張三李四の二人、賞善罰悪使という。
 狗雑種は鉄叉会と飛魚幇の全滅の様子を見ている。
 狗雑種は張三李四と義兄弟になったあとで、石清に説明される。(第二巻P222〜)
「三十年前、武林中で大きな門派幇会の頭が、突然、相次いで招待状を受け取った。十二月八日、南海の侠客島で朧八粥の宴においで頂きたいとな」
 銅牌と招待状をもたらしたのは二人の少年だった。張三李四ではないかと思われるが断定していない。招きに応じない者は直ちに殺されてしまった。そのような事件があちこちで起こった。
 一年の間に、彼らの手にかかった者は十四人、宴に赴いたのが三十七人。
 十年後(つまり二十年前)、わずか十日あまりで拒んだ門派を三つ、幇会を二つあわせて数百人を皆殺しにしてのけた。銅牌をばらまき続け、拒否した者は、必ずその魔手に倒れた。結局侠客島へ渡ったのは四十八人。
 さらに十年後、力を合わせて武林の害を取り除こうと、一人も逆らわず五十三人が侠客島に渡った。しかし侠客島に渡った者は帰ってこない。

 ここまではあくまでも石清の説明による。
 全てが張三李四の二人でやったとは言いきれないが、その他の使者がいたとも思えない。そしてこれは説明であり、地の文ではない。

 第三巻P36で張三李四が登場すると、
 人相風体は三十年来、武林の心胆を寒からしめた善悪二使そのもの。一様に背筋が凍り…
 この二人にそっくりな人相風体の別な善悪二使がいたとは考えにくい。

 P183では、史婆婆が幇の頭を譲れとせまると、そばで聞いていた、侠客島の迎えが、
「長楽幇の頭は二十過ぎの若者、ご高齢にして徳高き女性ではないと賞善罰悪二使はたしかに申しておりましたが」
 と、建前は賞善罰悪使はふたり。

 一同侠客島に行くと、広間に入る。龍島主と木島主を紹介され、それに弟子たちも二列に別れて入ってきた。
P193
 銅牌を配って回った賞善罰悪使者もその中に入っていた。黄の衣の張三は右の十一番目、青い衣の李四が左の十三番目、かれらの後にさらに二十人あまりが続く。人々は冷水を浴びた心地がした。張三と李四の腕前は、皆が目の当たりにしているが、他にも多くの同門がいるとは意外だった。おそらく腕も似たり寄ったりだろう。
(……、他の連中はさておき、善悪二使だけを相手にしても、二十手と立ち会える者はいくらもおるまい)

と、皆が賞善罰悪使者は張三と李四の二人だと思っている。

P209
 二島主は、賞善罰悪簿を皆に見せて、
「我らは手下を使わして、江湖の消息を集めておるが、…。…滅ぼした門派幇会は、いずれも許し難い悪行三昧の輩。…」
 そして証拠書類も見せる。
 頁を繰るうちに「可殺」の朱筆の文字が五六十カ所あり、張三李四の筆と知る。
 と、これらを「可殺」と記録したのは張三李四である。本文の記録者は不明。疑問がないところを見ると皆が張三李四と思っているか。

 石清の説明とこの四例が賞善罰悪使の説明のほとんど。
 結論として、賞善罰悪使は張三と李四の二人だけ。「手下を使わして」の文字をどう解釈するか。わたしは今まで張三と李四の二人と思っていたが、それ以外に表に出ない多くの人がいたと解釈すべきか。話の様子では侠客島の従者はここにいる人がほとんどらしい。
 それ以外に各地に散らばり探偵をしている人がいないとは断定できないが、いる気配はない。
 ただし、調査係がいないと、不可能だけに、どこかに匂わさなければいけないと思う。
posted by たくせん(謫仙) at 06:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 侠客行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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